ヤマハが誇るネオレトロ(ニュースポーツヘリテージ)モデル、XSR700。MT-07をベースにした軽快な走りと、クラシカルな雰囲気を融合させたデザインで、多くのバイクファンの注目を集める存在です。688ccの扱いやすい並列2気筒エンジンを搭載し、大型バイクでありながらフレンドリーな乗り味を提供してくれるこのモデルは、ベテランライダーから大型免許を取得したばかりの初心者まで、幅広い層にアピールするポテンシャルを秘めています。
しかし、インターネット上のレビューやバイクコミュニティの一部では、「XSR700は不人気だ」「思ったほど売れていないのでは?」といった声も聞かれます。兄弟モデルであるXSR900の強い個性や、ベースとなったMT-07の圧倒的な人気と比べると、やや影が薄いと感じる人もいるのかもしれません。
この記事では、なぜヤマハ XSR700が一部で「不人気」と囁かれてしまうのか、その理由や背景を、共起語として挙げられている様々な要素(デザイン、価格、エンジン、性能、ライバル車種、積載性など)を交えながら深く掘り下げていきます。本当にXSR700は不人気なのでしょうか? それとも、その魅力が十分に伝わっていないだけなのでしょうか? 実際のユーザーレビューや評価、市場での立ち位置などを参考に、XSR700の持つ真の価値と、一部で指摘されるウィークポイントの両面から、その実像に迫ります。XSR700の購入を検討している方、あるいはその魅力をもっと知りたいと思っている方にとって、有益な情報を提供することを目指します。
- XSR700が「不人気」と言われる具体的な理由や背景を考察
- デザイン、性能、価格、ライバル車種との比較から見える立ち位置
- MT-07との関係性や、XSR900との比較におけるXSR700の特徴
- 実際のユーザー満足度や隠れた魅力、カスタムベースとしての可能性
XSR700が「不人気」と囁かれる背景を探る
- デザインに対する評価の分かれ目:ネオレトロか中途半端か
- ベースモデルMT-07との比較:価格差と性能差は?
- ライバル車種(SV650Xなど)との競合と立ち位置
- 装備のシンプルさと最新機能への期待とのギャップ
- 積載性の低さとツーリングでの使い勝手
- 中古市場での流通量や人気度の実態
デザインに対する評価の分かれ目:ネオレトロか中途半端か
- ヤマハの「ヘリテージ」デザインコンセプト
- モダンとクラシックの融合に対する賛否
- XSR900とのデザイン比較と個性
ヤマハ XSR700のデザインは、「ネオレトロ」あるいは「ニュースポーツヘリテージ」と呼ばれるカテゴリーに属し、最新の走行性能を持つ車体に、往年のヤマハ車を彷彿とさせるクラシカルな要素を融合させているのが特徴です。アルミ製のタンクカバーや丸目一灯のヘッドライト、シンプルなメーター周りなど、レトロな雰囲気を醸し出すディテールは、多くのライダー、特にヤマハファンにとっては魅力的に映るでしょう。素材感にもこだわりが見られ、所有する喜びを感じさせてくれるデザインと言えます。
しかし、このモダンとクラシックの融合というデザインコンセプトが、逆に「中途半端だ」と感じるライダーもいるようです。完全にクラシックなバイクを求める層にとっては、MT-07譲りの現代的なフレームワークやスイングアーム、水冷エンジンなどが目立ちすぎると感じるかもしれません。一方で、最新のスポーツバイクのデザインを好む層にとっては、レトロな要素が野暮ったく見える可能性もあります。特に、上位モデルであるXSR900が、より明確なコンセプトと強い個性(80年代レーサーレプリカ風のデザイン)を持っているため、比較するとXSR700のデザインはやや大人しく、個性が薄いと感じられてしまうのかもしれません。
また、細部のデザインについても好みが分かれる点があります。例えば、ラジエーターの存在感や、シート下のスペースの処理、テールランプのデザインなど、見る人によっては気になる部分もあるようです。デザインの評価は主観的な要素が強いですが、この「ネオレトロ」というカテゴリー自体が比較的新しいものであることや、XSR900という強力な個性を持つ兄貴分がいることが、XSR700のデザインに対する評価を複雑にし、一部で「不人気」という声に繋がっている可能性があると考えられます。とはいえ、このデザインに強く惹かれるファンも多く存在し、カスタムによってさらに個性を引き出す楽しみもあります。
ベースモデルMT-07との比較:価格差と性能差は?
- 共通のエンジンとフレームを持つ兄弟モデル
- XSR700とMT-07の新車価格の違い
- 外装や装備の違いとコストパフォーマンス
XSR700が「不人気」と言われる要因の一つとして、ベースモデルであるMT-07の存在が大きいと考えられます。XSR700は、エンジンやフレームといった基本的なコンポーネントをMT-07と共有しています。MT-07は、その軽快な走りと優れたコストパフォーマンスで、ミドルクラスのネイキッドバイク市場において圧倒的な人気を誇るベストセラーモデルです。そのため、XSR700を検討する際には、必然的にMT-07と比較されることになります。
性能面では、エンジン特性や基本的なハンドリングは両車でほぼ共通しており、どちらも非常に扱いやすく、楽しい走りを提供してくれます。しかし、価格面では、XSR700の方がMT-07よりも高価に設定されています(2025年5月現在、XSR700は約91万円、MT-07は約88万円)。この価格差は、主に外装パーツの違い(アルミ製タンクカバーなど)や、デザインコンセプトを実現するためのコストによるものです。性能がほぼ同じであるにも関わらず、価格が高いという点が、XSR700の購入をためらわせる要因の一つになっている可能性があります。
コストパフォーマンスを重視するライダーにとっては、より安価なMT-07の方が魅力的に映るでしょう。「同じエンジンとフレームなら、安い方で良い」「価格差分の価値をXSR700のデザインに見出せない」と考える人がいても不思議ではありません。もちろん、XSR700のネオレトロなデザインや質感に価値を見出すライダーにとっては、その価格差は十分に納得できるものです。しかし、MT-07という強力でコストパフォーマンスに優れた兄弟モデルが存在することが、相対的にXSR700の販売台数や人気に影響を与え、「不人気」という印象につながっている側面は否定できないでしょう。どちらを選ぶかは、デザインへのこだわりと予算のバランスによって決まると言えます。
ライバル車種(SV650Xなど)との競合と立ち位置
- 同じネオレトロカテゴリーの競合モデル
- スズキ SV650Xとの比較(エンジン、デザイン、価格)
- 市場におけるXSR700の独自性とアピールポイント
XSR700が属するミドルクラスのネオレトロ(あるいはカフェレーサー風)カテゴリーには、他にも魅力的なライバル車種が存在します。その代表格と言えるのが、スズキのSV650Xです。SV650Xも、人気のネイキッドモデルSV650をベースに、セパレートハンドルやヘッドライトカウル、タックロールシートなどを装備し、カフェレーサースタイルに仕上げられています。XSR700を検討するライダーの多くが、このSV650Xも比較対象に入れるのではないでしょうか。
SV650Xは、V型2気筒エンジンを搭載しており、XSR700の並列2気筒エンジンとは異なる鼓動感やフィーリングを持っています。デザインも、より明確なカフェレーサースタイルを打ち出しており、XSR700とはまた違った魅力があります。価格面では、SV650Xの方がXSR700よりも若干安価に設定されていることが多いです(2025年5月現在、SV650Xは約88万円)。エンジンフィールやデザインの好み、価格などを比較検討した結果、SV650Xを選ぶライダーも少なくないでしょう。このように、直接的なライバルが存在することも、XSR700の市場での立ち位置を難しくし、「不人気」という印象を与える一因となっている可能性があります。
もちろん、XSR700にはライバルにはない独自の魅力もあります。ヤマハらしい洗練されたデザインや、MT-07譲りの軽快で扱いやすいハンドリング、豊富なカスタムパーツなどは、XSR700ならではのアドバンテージです。しかし、ライバルであるSV650Xも非常に完成度が高く、魅力的なモデルであるため、このカテゴリー内で顧客を奪い合っている状況があると考えられます。XSR700が「不人気」なのではなく、競合が激しいカテゴリーの中で、人気が分散している、と見ることもできるかもしれません。最終的にどちらを選ぶかは、個々のライダーの好みや価値観によるところが大きいでしょう。
装備のシンプルさと最新機能への期待とのギャップ
- トラクションコントロールなどの電子制御の不在
- メーター表示や灯火類の仕様
- 価格帯から期待される装備レベル
XSR700は、ベースとなっているMT-07と同様に、比較的シンプルな装備構成となっています。ABSは標準装備されていますが、近年、同クラスの他のモデルで採用が進んでいるトラクションコントロールシステム(TCS)や、ライディングモードの切り替え機能といった電子制御デバイスは搭載されていません。メーターもシンプルな円形の液晶メーターで、表示される情報も速度、回転数、燃料計、ギアポジションなど基本的なものにとどまります。灯火類も、ヘッドライトとテールランプはLEDですが、ウインカーは電球式です(2022年以降のモデルでLED化)。
このシンプルな装備構成は、コストを抑え、バイク本来の操る楽しさを重視するという点ではメリットとも言えます。しかし、車両価格が90万円を超えることを考えると、もう少し充実した装備を期待する声があるのも事実です。特に、安全運転支援技術としての電子制御デバイスの搭載は、近年のトレンドであり、初心者や天候が不安定な状況でのライディングにおいて安心感を高める効果があります。ライバル車種の中には、同価格帯でTCSなどを装備しているモデルも存在するため、比較するとXSR700の装備が見劣りすると感じてしまう可能性があります。
また、メーターの表示内容やデザインに関しても、「もう少し情報量が欲しい」「カラー液晶だと嬉しい」といった意見も見られます。もちろん、バイクに過度な電子制御や豪華な装備は不要と考えるライダーも多く、XSR700のシンプルさを好む声もあります。しかし、技術の進歩とともにライダーの期待も変化しており、最新機能への関心も高まっています。XSR700のシンプルな装備が、一部のライダーにとっては物足りなさを感じさせ、「不人気」という評価につながる一因となっているのかもしれません。今後のモデルチェンジでの装備充実に期待したいところです。
積載性の低さとツーリングでの使い勝手
- リアシート周りのデザインと荷物の積みにくさ
- 純正オプションや社外品キャリアの必要性
- ロングツーリングにおける快適性
XSR700は、そのスタイリッシュなデザインを優先しているためか、荷物の積載性という点ではあまり得意ではありません。リアシートは比較的小さく、フラットな部分も少ないため、大きなシートバッグなどを安定して積むのは少し難しいかもしれません。また、荷掛けフックなども標準では装備されていないため、ネットなどを使って荷物を固定する際にも工夫が必要です。デザイン上、テール周りがスッキリしている分、積載のためのスペースが犠牲になっている側面があります。
そのため、XSR700でツーリングに出かける場合、特にキャンプツーリングなどで荷物が多くなる場合は、積載方法に工夫が必要になります。多くのオーナーは、純正オプションや社外品のリアキャリアを取り付けて、トップケースやシートバッグを安定して積めるようにしています。サイドバッグサポートを取り付けて、サイドバッグを使用するという方法もあります。これらのキャリアやバッグを追加することで積載性は大幅に向上しますが、その分、追加の費用がかかることになります。また、キャリアなどを装着すると、XSR700本来のスタイリッシュなリアビューが損なわれてしまう、と感じる人もいるかもしれません。
積載性の問題に加えて、ロングツーリングでの快適性という点でも、いくつかの指摘があります。シートのクッション性はそれほど高くなく、長時間のライディングではお尻が痛くなるという声も聞かれます。また、ウインドプロテクションもほとんどないため、高速道路での走行では風圧による疲労を感じやすいでしょう。もちろん、これらはバイクの特性であり、工夫次第で対応可能ですが、ツーリング性能や積載性を重視するライダーにとっては、XSR700は少し不便に感じられる可能性があります。これが、ツーリングライダー層からの支持が伸び悩み、「不人気」という印象につながっている可能性も考えられます。
中古市場での流通量や人気度の実態
- 中古バイク市場におけるXSR700の流通台数
- 年式や走行距離による価格帯の傾向
- MT-07やXSR900との比較におけるリセールバリュー
XSR700が「不人気」と言われるかどうかを判断する上で、中古バイク市場での動向も参考になります。中古車情報サイトなどで検索してみると、XSR700の中古車は、兄弟モデルであるMT-07やXSR900と比較すると、流通台数はやや少ない傾向にあるようです。これは、新車販売台数がそれほど多くないことの表れとも考えられますが、一方で、オーナーが愛着を持って長く乗り続けているため、中古市場にあまり出てこない、という可能性も否定できません。
中古車の価格帯を見ると、比較的高値で安定している印象です。特に、高年式で走行距離の少ない車両は、新車価格に近い価格で取引されているケースも見られます。これは、XSR700のデザインや性能に対する一定の評価があり、中古市場でも需要があることを示唆しています。ただし、爆発的な人気があるというわけではなく、極端なプレミア価格がついているような状況ではありません。購入を検討している側からすれば、比較的状態の良い中古車を、ある程度適正な価格で見つけやすい状況と言えるかもしれません。
リセールバリュー(買取価格)に関しては、MT-07やXSR900といった人気モデルと比較すると、やや低い傾向にある可能性が考えられます。中古市場での流通量が少ないということは、買取業者にとっては再販のリスクがやや高くなるため、査定額が伸び悩むことがあるかもしれません。もちろん、車両の状態やカスタム内容、売却時期などによって大きく変動しますが、将来的な売却を考えている場合は、リセールバリューの面では少し不利になる可能性も考慮しておいた方が良いかもしれません。中古市場での流通量や価格動向は、必ずしも「不人気」を直接示すものではありませんが、XSR700の市場における立ち位置を知る上での一つの指標となります。
XSR700の隠れた魅力と満足度の高いポイント
- 扱いやすいエンジンと軽快な走り:MT-07譲りの基本性能
- カスタムベースとしてのポテンシャルと楽しさ
- ネオレトロスタイルが刺さる層からの熱い支持
- 燃費性能と維持費のバランス
- 大型バイク入門としても適した取り回しの良さ
- 所有する喜びを感じさせるディテールと質感
扱いやすいエンジンと軽快な走り:MT-07譲りの基本性能
- 688cc水冷並列2気筒CP2エンジンの特性
- 軽量な車体が生み出す軽快なハンドリング
- 街乗りからワインディングまで楽しめる万能性
XSR700のネガティブな側面ばかりが注目されがちですが、このバイクには確かな魅力と、多くのライダーを満足させる実力が備わっています。その根幹をなすのが、ベースモデルであるMT-07から受け継いだ、優れた基本性能です。搭載されている688ccの水冷並列2気筒「CP2」エンジンは、クロスプレーンコンセプトに基づき設計され、低回転域から力強いトルクとリニアなレスポンス、そして心地よい鼓動感を提供してくれます。最高出力は約73馬力と、ミドルクラスとしては十分なパワーを持ちながらも、非常に扱いやすい特性のため、ライダーは安心してスロットルを開けることができます。
この扱いやすいエンジンと、約188kg(装備重量)という軽量な車体の組み合わせが、XSR700の最大の魅力である軽快な走りを生み出しています。重心も低く、ハンドリングは素直で軽快そのもの。街中でのストップ&ゴーや狭い道でのUターンも楽々こなせますし、ワインディングに持ち込めば、ヒラリヒラリとコーナーをクリアしていく楽しさを存分に味わうことができます。ライダーの操作に対してバイクが素直に反応してくれるため、人車一体となって走る喜びを感じやすいのです。大型バイクでありながら、まるでミドルクラスのバイクに乗っているかのような気軽さで付き合えるのが、XSR700の大きな美点です。
パワーがありすぎて扱いきれない、というストレスを感じることも少なく、かといって非力で物足りないということもない、絶妙なバランスのエンジンパワーと車体構成。これにより、街乗りから通勤、ツーリング、そしてワインディングでのスポーツ走行まで、幅広いシーンでバイクに乗る楽しさを満喫することができます。このMT-07譲りの優れた基本性能こそが、XSR700の根強いファンを生み出している源泉であり、決して「不人気」という言葉だけでは片付けられない、確かな実力を持っていることの証明と言えるでしょう。
カスタムベースとしてのポテンシャルと楽しさ
- シンプルな構造とカスタムのしやすさ
- 国内外の豊富なアフターパーツ
- カフェレーサー、スクランブラーなど多様なスタイル
XSR700の魅力として、カスタムベースとしてのポテンシャルの高さも忘れてはなりません。シンプルな車体構成と、主張しすぎないノーマルのデザインは、オーナーが自分好みに手を加えていく上で、非常に優れた素地となります。ヤマハ自身も「The Performance Retroster」というコンセプトと共に、カスタムを楽しむ文化を推奨しており、純正アクセサリー(ワイズギア)も豊富にラインナップされています。
さらに、国内外の多くのサードパーティからも、XSR700用のカスタムパーツが多数リリースされています。マフラー、シート、ハンドル、ステップ、外装パーツ、灯火類、サスペンションに至るまで、その種類は非常に豊富です。これにより、オーナーは自分の好みや予算に合わせて、様々なスタイルのカスタムを楽しむことができます。例えば、セパレートハンドルやバックステップを装着してカフェレーサースタイルを追求したり、ブロックタイヤやアップマフラーでスクランブラースタイルに仕上げたり、あるいはキャリアやスクリーンを追加してツーリング仕様にしたりと、アイデア次第で無限の可能性が広がっています。
エンジンやフレームの基本性能が高いだけに、外装や足回りをカスタムすることで、さらに走りや見た目の質感を高めることも可能です。SNSなどでは、多くのオーナーが個性的なカスタムを施した愛車の写真を公開しており、それらを参考にしながら自分のカスタムプランを練るのも楽しい時間でしょう。このように、XSR700はただ乗るだけでなく、「自分だけの一台を創り上げる」という、バイクの持つもう一つの大きな楽しみを提供してくれるモデルなのです。このカスタムの自由度の高さが、多くのバイク好き、特にメカいじりが好きな層からの熱い支持を集めている理由の一つと言えます。
ネオレトロスタイルが刺さる層からの熱い支持
- 懐かしさと新しさが融合したデザイン
- ヤマハの歴史やブランドイメージへの共感
- 他の人とは違うバイクに乗りたいという欲求
「不人気」という声がある一方で、XSR700の持つ独特のネオレトロスタイルに強く惹かれ、熱い支持を送っているライダー層も確実に存在します。このスタイルは、単に古いデザインを模倣したものではなく、ヤマハが長年培ってきたバイク作りの歴史やフィロソフィーを現代の技術で再解釈したものです。そこに共感し、魅力を感じるライダーにとっては、XSR700は他のどのバイクにも代えがたい存在となります。
特に、往年のヤマハ車(例えばXSシリーズやRZシリーズなど)に憧れを抱いていた世代や、ヤマハというブランドの持つスポーティで革新的なイメージに魅力を感じているライダーにとって、XSR700のデザインは非常に魅力的に映るでしょう。アルミタンクカバーの質感や、フレームとエンジンのメカニカルな造形、シンプルながらも存在感のある灯火類など、細部にまでこだわって作り込まれたディテールは、所有する喜びを満たしてくれます。最新のバイクでありながら、どこか懐かしさや温かみを感じさせる佇まいは、他の最新スポーツバイクにはない独特の雰囲気を持っています。
また、市場には様々なタイプのバイクがありますが、その中でもネオレトロというカテゴリーは、まだ比較的新しく、選択肢も限られています。その中で、ヤマハが提案するXSR700のスタイルは、一定の独自性を持っています。他の人とは少し違う、個性的なバイクに乗りたい、と考えているライダーにとって、XSR700は魅力的な選択肢となり得ます。特に、ベースとなったMT-07が非常にポピュラーなモデルであるだけに、その兄弟車でありながら異なる個性を持つXSR700を選ぶことで、さりげなく違いをアピールしたい、という心理も働くのかもしれません。「不人気」と言われることもあるかもしれませんが、それは逆に、このスタイルが本当に好きな人だけが選ぶ、玄人好みのバイクである、という見方もできるでしょう。
燃費性能と維持費のバランス
- 実用的な燃費性能(WMTCモード値)
- 700ccクラスとしては比較的安価な維持費
- 日常使いからツーリングまでこなせる経済性
XSR700は、大型バイクでありながら、比較的良好な燃費性能を持っている点も魅力の一つです。搭載されているCP2エンジンは、扱いやすさだけでなく、燃焼効率も考慮されており、WMTCモード値でリッターあたり約23.8kmという数値を実現しています。実際の走行状況によって燃費は変動しますが、多くのオーナーレビューを見ても、リッターあたり20km台前半から中盤程度の燃費を記録しているようです。これは、700ccクラスのバイクとしては、十分に実用的で経済的な数値と言えるでしょう。
燃料タンク容量は14Lと比較的小さめですが、良好な燃費のおかげで、航続距離も300km以上を期待できます。日帰りツーリング程度であれば、給油なしで走り切れることも多いでしょう。長距離ツーリングにおいても、給油の頻度を抑えることができ、経済的な負担を軽減してくれます。毎日の通勤や街乗りなど、日常的にバイクを使用するライダーにとっても、この燃費の良さは大きなメリットとなります。
また、維持費全体で見ても、XSR700は大型バイクの中では比較的リーズナブルな部類に入ります。ベースとなっているMT-07と共通のパーツも多く、消耗品などの価格もそれほど高価ではありません。もちろん、大型バイクなので車検は必要ですし、タイヤなどの消耗品もそれなりの価格になりますが、同クラスの他のモデルと比較して、特別に維持費が高いということはないでしょう。エンジンも信頼性が高く、大きなトラブルに見舞われる可能性も低いと考えられます。このように、走りを楽しめる性能を持ちながら、燃費や維持費といった経済性の面でもバランスが取れている点が、XSR700を長く乗り続けたいと思わせる魅力の一つとなっています。
大型バイク入門としても適した取り回しの良さ
- 軽量な車体と低い重心
- 扱いやすいエンジンパワーと素直なハンドリング
- 大型免許取得後の最初の1台としての選択肢
XSR700は、そのスタイリッシュな見た目や700ccという排気量から、ベテラン向けのバイクという印象を持つかもしれませんが、実は大型バイク入門としても非常に適したモデルです。その最大の理由は、前述の通り、軽量な車体と扱いやすいエンジン特性、そして素直なハンドリングにあります。大型バイクというと、「重くて扱いにくい」「パワーがありすぎて怖い」といったイメージを持つ初心者の方も少なくないでしょう。しかし、XSR700はそうした不安を払拭してくれる要素を多く持っています。
装備重量で188kgという車重は、700ccクラスとしては非常に軽量です。重心も低いため、跨ったままでの取り回しや、押し引きも比較的楽に行えます。シート高は835mmとやや高めですが、車体がスリムなため、足つき性もスペックの数値ほど悪くはありません。実際に跨ってみると、思った以上に軽く感じられ、大型バイク特有の威圧感が少ないことに気づくでしょう。これにより、立ちゴケなどのリスクに対する不安が軽減され、安心してバイクに乗り出すことができます。
エンジンパワーも、決して過激すぎることなく、ライダーの右手(スロットル操作)に忠実に反応してくれます。低回転からトルクがあるので発進もスムーズですし、急な加減速にもなりにくいため、街中でもリラックスして運転できます。ハンドリングも素直で、ライダーが思った通りに曲がってくれるため、運転技術に自信がない初心者でも、バイクを操る楽しさをすぐに感じることができるでしょう。大型免許を取得して、最初のバイク選びに悩んでいる方にとって、XSR700はデザインの好みさえ合えば、非常に有力な候補となり得るバイクです。扱いやすさと走る楽しさを高い次元でバランスさせている点が、入門者にもおすすめできる理由です。
所有する喜びを感じさせるディテールと質感
- アルミ製タンクカバーなどの素材感
- 細部までこだわったデザイン処理
- ヤマハブランドへの信頼と満足感
XSR700は、単なる移動手段やスポーツ走行のための道具としてだけでなく、所有する喜びや愛着を感じさせてくれるバイクでもあります。その理由の一つが、細部にまでこだわって作り込まれたディテールと質感です。特に目を引くのが、アルミ製の燃料タンクカバーです。樹脂製のタンクが一般的な中で、あえてコストのかかるアルミ素材を使用し、ヘアライン加工などを施すことで、独特の素材感と高級感を演出しています。このタンクカバーは、XSR700のデザインにおける大きな特徴であり、オーナーの所有欲を満たす重要な要素となっています。
その他にも、レトロな雰囲気の丸目ヘッドライトやテールランプ(ステーのデザインにもこだわりが見られる)、質感の高いレザー調シート、メーター周りのデザイン処理など、細部を見ていくと、開発者のこだわりが感じられる部分が多くあります。フレームやエンジンといったメカニカルな部分も、デザインの一部として積極的に見せる構成となっており、眺めているだけでも飽きない魅力があります。これらのディテールへのこだわりが、単なる工業製品ではない、工芸品のような佇まいをXSR700に与えていると言えるでしょう。
また、ヤマハというブランドに対する信頼感や満足感も、所有する喜びにつながります。ヤマハは長年にわたり、高品質で高性能なバイクを作り続けてきた実績があり、そのブランドイメージは多くのライダーから高く評価されています。XSR700は、そのヤマハの歴史と技術を受け継ぐモデルであり、オーナーはヤマハブランドの一員であるという誇りを持つことができます。デザイン、性能、そしてブランドイメージが一体となって、XSR700はオーナーにとって単なるバイク以上の、愛着の湧く特別な存在となり得るのです。たとえ「不人気」という声があったとしても、オーナー自身の満足度が高ければ、それが最も重要なことではないでしょうか。
まとめ:XSR700の不人気説の真相と、自分に合うかの判断基準
- XSR700が「不人気」と言われる背景には、デザインの好みの違い、MT-07との比較、ライバル車種の存在、装備のシンプルさ、積載性の低さなどが挙げられる。
- デザインはモダンとクラシックの融合だが、「中途半端」と感じる声や、XSR900と比較して個性が薄いという意見も。
- 性能はMT-07とほぼ同等だが価格は高いため、コストパフォーマンス重視層からは選ばれにくい側面がある。
- SV650Xなど強力なライバルが存在し、人気が分散している可能性。
- 電子制御デバイス非搭載など、装備はシンプル。価格帯からすると物足りなさを感じる人も。
- 積載性は低く、ツーリングには工夫が必要。キャリア等の追加が必要な場合も。
- 中古市場での流通量は多くないが、価格は比較的高値で安定。リセールはMT-07等に劣る可能性。
- 一方で、MT-07譲りの扱いやすいエンジンと軽快な走りは大きな魅力。
- カスタムベースとしてのポテンシャルが高く、自分好みの一台を作る楽しみがある。
- ネオレトロスタイルに強く惹かれる層からは熱い支持を得ている。
- 燃費や維持費のバランスも良く、経済的。
- 軽量で扱いやすいため、大型バイク入門としても適している。
- アルミタンクカバーなど、ディテールの質感が高く、所有する喜びを感じさせる。
- 結論として、「不人気」というよりは、特定の層に深く刺さる玄人好みのバイク。デザインやコンセプトに共感できるか、MT-07やライバルとの違いをどう評価するかが選択の鍵。
XSR700って、個人的にはすごく魅力的なバイクだと思うんですよね。初めて見た時、あのアルミタンクの質感とか、全体のまとまり感に「お、これは!」って感じました。MT-07っていう大ヒット作がベースにあるから、走りが良いのは間違いないですし。
でも、確かに「不人気」って言われる気持ちも、ちょっと分かる気がします。兄貴分のXSR900がものすごく個性的でインパクトがあるから、比べるとどうしても大人しく見えちゃう。それに、すごくコスパの良いMT-07がいるから、「同じエンジンならMT-07でいいかな…」って考える人がいるのも自然なことかもしれません。例えるなら、すごく優秀で人気者の兄と、真面目で良い子だけどちょっと地味な弟、みたいな感じでしょうか(笑)。
でも、XSR700にはXSR700にしかない魅力がたくさんありますよね。あの落ち着いたネオレトロのデザインは、流行り廃りなく長く付き合えそうですし、カスタムベースとしても無限の可能性を秘めている。派手さはないかもしれないけど、乗るほどに、いじるほどに、じわじわと愛着が湧いてくるような、そんなバイクなんじゃないかなって思います。
それに、「不人気」って言われるくらいのバイクの方が、他の人とかぶりにくくて良い、って考える人もいますよね(私もちょっとそういうタイプです)。
結局のところ、バイク選びはスペックや評判だけじゃなくて、「自分が本当に気に入るかどうか」が一番大事。XSR700のスタイルやコンセプトにビビッと来たなら、周りの声は気にせず、ぜひその直感を信じてみてほしいなと思います。
試乗してみると、きっとその軽快な走りやエンジンの鼓動感に魅了されるはずですよ!