ホンダの人気スクーター、PCX。スタイリッシュなデザインと優れた燃費性能、そして快適な乗り心地で、通勤・通学から街乗りまで、幅広いシーンで活躍する万能バイクとして多くのユーザーに支持されています。
そんなPCXですが、ライダーの中にはさらなる快適性や個性を求めてカスタムを楽しむ人も少なくありません。特に「ローダウン」は、足つき性を改善したり、よりスタイリッシュな見た目を手に入れるための定番カスタムとして人気があります。しかし、ローダウンにはメリットだけでなくデメリットも存在し、乗り心地や走行性能への影響も気になるところです。また、PCXはその快適性と経済性から、ツーリングに使用するライダーも増えています。
スクーターでありながら、長距離走行や高速道路走行は可能なのか?荷物はどうするのか?そして、一部で囁かれる「スクーターでのツーリングはダサい」というイメージは本当なのか?これらの疑問や不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、PCXのローダウンカスタムの方法や注意点、PCXでのツーリングの適性や楽しみ方、そして「PCXツーリングはダサい」というイメージの真相について、ユーザーレビューやカスタムパーツ情報、実際の走行性能などを交えながら、徹底的に解説していきます。PCXの購入を検討している方、すでにオーナーでカスタムやツーリングに興味がある方、ぜひ参考にしてください。
- PCXのローダウンカスタムの方法、メリット・デメリット、注意点を解説
- PCXでのツーリングの適性、快適性、積載方法などを紹介
- 「スクーターでのツーリングはダサい」というイメージについて考察
- PCXをより快適に、楽しく乗るためのヒントを提供
PCXローダウンカスタムの世界:足つき改善と注意点
- PCXローダウンの方法:サスペンション交換とローダウンシート
- ローダウンのメリット:足つき改善とスタイリング向上
- ローダウンのデメリット:乗り心地悪化や走行性能への影響
- おすすめローダウンパーツ:サスペンション、シート、サイドスタンド
- ローダウンカスタムにかかる費用と注意点
- 自分でできる?PCXローダウンのDIYとショップ依頼
- 型式(JF/JK/KF)によるローダウンパーツの違い
PCXローダウンの方法:サスペンション交換とローダウンシート
- ローダウンの主な方法はリアサスペンションの交換
- フロントフォークのスプリング交換や突き出し変更も有効
- シート自体を薄くしたローダウンシートへの交換も一般的
ホンダPCXの車高を下げて足つき性を改善したり、見た目をスタイリッシュにしたりする「ローダウン」。そのカスタムには、いくつかの方法があります。最も一般的で効果的な方法が、リアサスペンションの交換です。純正のリアサスペンションよりも短い、ローダウン専用設計のサスペンションに交換することで、リアの車高を数センチ(一般的には20mm~40mm程度)下げることができます。多くの社外パーツメーカーから、様々な長さや性能を持つローダウンサスペンションが販売されています。
リアだけをローダウンすると、車体の姿勢が前上がりになってしまうため、フロントも合わせてローダウンするのが一般的です。フロントのローダウン方法としては、フロントフォーク内のスプリングを短いもの(ローダウンスプリング)に交換する方法があります。これにより、フロントの車高をリアに合わせて下げることができます。また、一部の車種やカスタム方法によっては、フロントフォークの突き出し量を調整して車高を下げる場合もありますが、PCXではスプリング交換が主流です。前後バランスよくローダウンすることで、自然なライディングポジションと安定した走行性能を維持しやすくなります。
もう一つのポピュラーな方法が、ローダウンシートへの交換です。これは、シート内部のウレタン(スポンジ)を薄くしたり、形状を工夫したりすることで、着座位置を下げ、結果的に足つき性を向上させるシートです。サスペンション交換と組み合わせることで、さらなるローダウン効果を得ることができますし、サスペンションはノーマルのまま、シート交換だけで足つきを改善したいという場合にも有効です。ただし、シートが薄くなる分、クッション性が低下し、乗り心地が悪化する可能性がある点には注意が必要です。
これらの方法以外にも、より高度なカスタムとして、フレーム加工などによって車高を下げる方法もありますが、一般的ではありません。多くの場合は、サスペンション交換、フロントフォークスプリング交換、ローダウンシート交換、あるいはこれらの組み合わせによってローダウンが行われます。どの方法を選ぶかは、どれくらいローダウンしたいか、予算はいくらか、乗り心地への影響をどれだけ許容できるかなどを考慮して決定する必要があります。
ローダウンのメリット:足つき改善とスタイリング向上
PCXをローダウンすることには、いくつかの明確なメリットがあります。ライダーがローダウンカスタムを施す主な理由と言っても良いでしょう。
最大のメリットは、やはり「足つき性の向上」です。PCXは元々スクーターとしては標準的なシート高ですが、それでも小柄なライダーや女性、バイク初心者にとっては、信号待ちなどで足を着く際に不安を感じることがあります。ローダウンによって車高を下げることで、足裏全体が地面に着くようになったり、膝に余裕ができたりして、停車時の安定感が格段に向上します。これにより、立ちゴケのリスクが減り、精神的な安心感を得られることは、大きなメリットと言えるでしょう。特に、頻繁に街乗りをするライダーにとっては、信号待ちのストレスが軽減される効果は大きいです。
もう一つの大きなメリットが、「スタイリングの向上」です。車高を下げることで、PCXのフォルムがより低く、長く見えるようになり、ノーマル状態よりも引き締まった、スポーティでカスタム感のある外観を手に入れることができます。特に、タイヤとフェンダーの隙間が少なくなることで、どっしりとした安定感のある見た目になります。バイクは性能だけでなく、見た目も重要な要素です。ローダウンによって自分好みのスタイリングを実現できることは、所有する喜びを高める上で大きなメリットとなります。
さらに、副次的なメリットとして、重心が下がることで、走行安定性が向上すると感じるライダーもいるようです。ただし、これはローダウンの程度や方法、他のカスタムとの組み合わせによっても変わってきます。また、単純に「カスタムしている」という満足感や、他のPCXとの差別化を図れる点も、精神的なメリットと言えるかもしれません。これらのメリット、特に足つき性の向上は、多くのライダーにとってローダウンカスタムを行う十分な動機となっています。
ローダウンのデメリット:乗り心地悪化や走行性能への影響
- サスペンションストロークが減少し、乗り心地が悪化しやすい
- 最低地上高が下がり、段差やバンク角に制約が出る
- 車体バランスが変化し、ハンドリングに影響が出る可能性
魅力的なメリットがある一方で、PCXのローダウンには無視できないデメリットや注意点も存在します。カスタムを行う前に、これらの点を十分に理解しておくことが重要です。
最も大きなデメリットとして挙げられるのが、「乗り心地の悪化」です。ローダウンサスペンションは、純正サスペンションよりもストローク量(サスペンションが伸縮する幅)が短くなっています。そのため、路面からの衝撃を吸収しきれず、ゴツゴツとした硬い乗り心地になったり、大きな段差で底付きしたりする可能性が高まります。特に、安価なローダウンサスペンションや、極端に車高を下げるカスタムの場合、乗り心地の悪化は顕著になる傾向があります。ローダウンシートも同様に、シートが薄くなることでクッション性が低下し、お尻が痛くなりやすくなります。快適性を重視するライダーにとっては、大きなデメリットとなるでしょう。
次に、「走行性能への影響」も考慮する必要があります。ローダウンによって最低地上高が下がるため、歩道の段差を乗り越える際や、駐車場への出入りなどで、車体の底面(アンダーカウルやセンタースタンドなど)を擦りやすくなります。また、コーナーリング時にバイクを傾けることができる角度(バンク角)も浅くなります。これにより、今までと同じようにコーナーを曲がろうとすると、ステップやマフラーなどを地面に擦ってしまう可能性があり、スポーティな走行が制限されることがあります。
さらに、前後バランスが崩れるようなローダウンを行うと、ハンドリング特性が変化し、直進安定性が低下したり、コーナーリングが不安定になったりする可能性もあります。ショートサイドスタンドへの交換が必要になる場合もあり、これも追加の費用と手間になります。ローダウンは、見た目や足つきと引き換えに、乗り心地や走行性能の一部を犠牲にする可能性があるカスタムであることを理解しておく必要があります。どの程度のデメリットまで許容できるかを考え、信頼できるパーツを選び、適切な方法でカスタムを行うことが重要です。
おすすめローダウンパーツ:サスペンション、シート、サイドスタンド
PCXをローダウンしようと考えた際、多くのカスタムパーツの中からどれを選べば良いか迷うかもしれません。ここでは、代表的なローダウン関連パーツの種類と、選び方のポイントをいくつか紹介します。
まず、ローダウンの要となるリアサスペンションです。多くのメーカーから様々な製品が販売されています。選ぶ際のポイントは、「ダウン量」「調整機能の有無」「価格」などです。ダウン量は、一般的に20mm~40mm程度のものが多く、自分の希望する車高に合わせて選びます。ただし、下げすぎると乗り心地や走行性能への影響が大きくなるため注意が必要です。調整機能としては、スプリングの硬さ(プリロード)を調整できるものが多く、中には減衰力調整機能を持つ高性能なサスペンションもあります。乗り心地にもこだわりたい場合は、調整機能付きのサスペンションを選ぶのがおすすめです。価格帯も数千円のものから数万円するものまで幅広く、品質や性能とのバランスを考慮して選びましょう。有名ブランドとしては、エンデュランス、キタコ、デイトナ、アディオなどが挙げられます。
フロントフォークのローダウンスプリングも、リアに合わせて交換を検討したいパーツです。リアサスペンションと同じメーカーのものを組み合わせるのが一般的ですが、フロントスプリングの交換はリアサスペンション交換よりも作業難易度が高いため、ショップに依頼することを推奨します。こちらもダウン量や特性が製品によって異なります。
ローダウンシートも、手軽に足つきを改善できる人気のパーツです。純正シートを加工したものや、社外メーカーが専用設計したものなどがあります。デザインや表皮の素材、クッション性などが製品によって異なります。見た目だけでなく、実際に跨ってみて座り心地を確認できるとベストです。ただし、乗り心地はノーマルシートより硬くなる傾向があることは覚悟しておきましょう。有名ブランドとしては、エンデュランス、SP武川、ノイワットダンなどがあります。
そして、ローダウンした場合に必須となるのがショートサイドスタンドです。車高が下がると純正のサイドスタンドでは車体が起きすぎてしまい、不安定になったり、最悪の場合転倒したりする可能性があります。ローダウン量に合わせて、適切な長さのショートサイドスタンドに交換する必要があります。各パーツメーカーから、ローダウンサスペンションとセットで販売されている場合や、単品で販売されている場合があります。これらのパーツを選ぶ際は、自分のPCXの型式(JF型、JK型、KF型など)に適合しているかを必ず確認しましょう。
ローダウンカスタムにかかる費用と注意点
- パーツ代は数千円(シートのみ)~数万円(前後サス交換)
- 工賃も考慮すると、総額は数万円~十数万円になることも
- 乗り心地悪化、走行性能変化、車検(軽二輪以上)への影響に注意
PCXのローダウンカスタムには、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?また、実施する上でどのような点に注意すべきでしょうか?
まず費用についてですが、選択するパーツやカスタムの内容、そして作業を自分で行うかショップに依頼するかによって大きく異なります。パーツ代の目安としては、ローダウンシートであれば1万円台~3万円程度、リアのローダウンサスペンションは安いもので数千円から、調整機能付きのしっかりしたものであれば2万円~5万円程度が相場です。フロントのローダウンスプリングは1万円前後、ショートサイドスタンドは数千円程度で購入できます。例えば、リアサスペンションとショートサイドスタンドのみを交換する場合、パーツ代だけで2万円~6万円程度が見込まれます。前後サスペンションとシートも交換するとなると、パーツ代だけで5万円~10万円以上かかる可能性もあります。
これに加えて、パーツの取り付けをバイクショップに依頼する場合は、工賃が発生します。工賃はショップや作業内容によって異なりますが、リアサスペンション交換で1万円前後、フロントフォークスプリング交換はそれ以上かかる場合が多いでしょう。シート交換は比較的簡単なので工賃も安めか、サービスで行ってくれる場合もあります。トータルで見ると、しっかりとしたローダウンカスタムを行う場合、数万円から十数万円程度の費用がかかると考えておくと良いでしょう。
注意点としては、まず前述の通り、乗り心地の悪化や走行性能の変化(最低地上高の低下、バンク角の減少、ハンドリングの変化など)を理解しておく必要があります。特に、過度なローダウンはこれらのデメリットを助長し、安全な走行に支障をきたす可能性もあるため注意が必要です。また、PCX150やPCX160などの軽二輪クラスの場合、構造変更の申請が必要になる場合や、カスタムの内容によっては車検に通らなくなる可能性もあるため、法規的な側面も確認しておく必要があります(原付二種のPCXは車検不要)。そして、信頼できるパーツを選び、適切な取り付けを行うことが重要です。取り付けに不安がある場合は、無理せずプロのショップに依頼しましょう。
自分でできる?PCXローダウンのDIYとショップ依頼
PCXのローダウンカスタムは、バイクいじりが好きな方にとってはDIY(Do It Yourself)で挑戦してみたい作業かもしれません。しかし、どの程度の作業なら自分で行え、どこからはプロのショップに任せるべきなのでしょうか?
比較的DIYで行いやすい作業としては、ローダウンシートへの交換が挙げられます。多くのシートは、ボルト数本で固定されているだけなので、基本的な工具(レンチなど)があれば、比較的簡単に交換することができます。ただし、シート下の配線などを傷つけないように注意が必要です。ショートサイドスタンドの交換も、構造は比較的シンプルですが、スプリングの脱着にコツが必要だったり、適切な工具が必要だったりする場合があります。作業に自信がない場合は無理しない方が良いでしょう。
リアサスペンションの交換も、不可能ではありませんが、シート交換よりは難易度が上がります。サスペンションを固定しているボルトは、しっかりとトルク管理をして締め付ける必要があります。また、サスペンション交換中は車体が不安定になるため、メンテナンススタンドなどで車体を安定させる必要があります。適切な工具と知識、そして安全な作業スペースがない場合は、ショップに依頼するのが賢明です。
フロントフォークのスプリング交換は、さらに難易度が高くなります。フロントフォークを取り外し、分解して内部のスプリングを交換するという作業が必要になり、専門的な知識と工具(特殊工具含む)、そしてオイル交換などの作業も伴います。作業ミスは重大な事故につながる可能性もあるため、フロント周りのカスタムは、よほど経験豊富な方以外はプロのショップに任せることを強く推奨します。
ショップに依頼するメリットは、確実な作業と安心感です。プロのメカニックが適切な工具と知識で作業を行ってくれるため、取り付けミスによるトラブルの心配がありません。また、パーツ選びに関するアドバイスをもらえたり、作業後の保証が付く場合もあります。工賃はかかりますが、安全性や確実性を考えれば、特にサスペンション周りのカスタムはショップに依頼するのがおすすめです。DIYで行う場合は、自分のスキルレベルを客観的に判断し、無理のない範囲で行うようにしましょう。
型式(JF/JK/KF)によるローダウンパーツの違い
- PCXの型式によって適合するパーツが異なる場合が多い
- 特にサスペンションやシートは型式専用設計が基本
- パーツ購入時は必ず自分のPCXの型式を確認することが重要
ホンダPCXは、初代(JF28/JF56)、2代目(JF81/JF84)、3代目(JK05/JK06)、そして軽二輪クラスのPCX150/160(KF12/KF18/KF30/KF47)など、複数の型式が存在します。ローダウンカスタムを行う際には、自分のPCXの型式に適合したパーツを選ぶことが非常に重要です。型式が異なると、フレーム形状やサスペンションの取り付け位置などが微妙に異なり、パーツが取り付けられない、あるいは性能が発揮されないといった問題が発生する可能性があります。
特に、ローダウンの要となるリアサスペンションやフロントフォークスプリングは、各型式に合わせて専用設計されているのが基本です。例えば、初代JF28/JF56用と、3代目JK05/JK06用では、サスペンションの長さや取り付け部の形状が異なるため、互換性はありません。ローダウンシートも同様で、シートベースの形状が型式ごとに異なるため、適合する型式を確認する必要があります。ショートサイドスタンドも、純正スタンドの長さや取り付け角度が型式によって異なるため、ローダウン量と型式に合ったものを選ぶ必要があります。
パーツメーカーのウェブサイトや、Amazon、楽天市場などのオンラインストアでパーツを探す際には、商品説明欄に必ず適合型式が記載されています。例えば、「PCX(JK05) / PCX160(KF47)用 ローダウンリアサスペンション」といった形です。自分のPCXの車台番号や年式から正確な型式を確認し、購入しようとしているパーツが自分の車両に適合するかどうかを、必ず事前にチェックしましょう。不明な点があれば、パーツメーカーや販売店に問い合わせるのが確実です。
型式を間違えてパーツを購入してしまうと、取り付けられないだけでなく、返品や交換の手間もかかってしまいます。また、無理に取り付けようとすると、車両やパーツを破損したり、安全な走行ができなくなったりするリスクもあります。中古パーツを購入する場合も、出品者に適合型式をしっかりと確認することが重要です。自分のPCXの型式を正確に把握し、適合パーツを選ぶことが、安全で確実なローダウンカスタムの第一歩となります。
PCXツーリングの実力とイメージ:「ダサい」は本当?
- PCXはツーリングに向いてる?長距離走行の適性を評価
- 高速道路も走れる?PCXのエンジンパワーと走行安定性
- PCXツーリングの快適性:シート、ポジション、防風性能
- 積載はどうする?PCXツーリングの荷物対策(リアボックス、バッグ)
- スクーターでのツーリングは本当に「ダサい」のか?イメージと実態
- PCXツーリングのメリット:燃費の良さ、気軽さ、収納力
- PCXツーリングを快適にするおすすめカスタム&アイテム
PCXはツーリングに向いてる?長距離走行の適性を評価
- 優れた燃費性能と十分なタンク容量で航続距離が長い
- 快適なライディングポジションと安定した乗り心地
- エンジンパワーは必要十分だが、高速走行では限界も
ホンダPCXは、主に街乗りコミューターとして開発されたスクーターですが、その快適性や経済性の高さから、ツーリングに使用するライダーも多くいます。では、実際のところ、PCXはツーリング、特に長距離走行に向いているのでしょうか?その適性を評価してみましょう。
まず、PCXの大きな強みとして挙げられるのが、優れた燃費性能です。最新モデル(JK05/KF47)のカタログ燃費(WMTCモード値)は、PCXで48.8km/L、PCX160で43.7km/Lと、非常に優秀な数値を誇ります。実燃費でもリッターあたり40km以上を記録することが多く、燃料タンク容量(8.1L)と合わせると、満タンからの航続距離は300km~400km近くに達します。これは、給油回数を減らせるため、長距離ツーリングにおいて大きなメリットとなります。
次に、ライディングポジションと乗り心地です。PCXは、足を前に投げ出すようなスクーター特有のポジションで、比較的リラックスして乗ることができます。シートも厚みがあり、座り心地は良好と評価されています。サスペンションも、街乗りでの快適性を重視したセッティングで、路面からの衝撃をうまく吸収してくれます。これらの要素により、長時間の走行でも疲労が少なく、快適にツーリングを楽しむことができます。
エンジンパワーに関しては、PCX(124cc)とPCX160(156cc)で異なりますが、どちらもスムーズで扱いやすい特性です。街乗りやバイパス程度の速度域であれば、必要十分なパワーを発揮します。ただし、PCX160であっても、高速道路での追い越し加速や、急な登り坂などでは、パワー不足を感じる場面もあるかもしれません。絶対的な動力性能を求めるのであれば、より排気量の大きいバイクの方が適しています。総合的に見ると、PCXは、突出したパワーはないものの、優れた燃費、快適な乗り心地、十分な航続距離により、長距離ツーリングにも十分対応できる適性を持っていると言えるでしょう。特に、景色を楽しみながらマイペースで走るようなツーリングスタイルには最適な一台です。
高速道路も走れる?PCXのエンジンパワーと走行安定性
PCXでツーリングを考えた場合、高速道路を利用できるかどうかは大きなポイントになります。PCX(124cc)は原付二種なので高速道路を走行できませんが、PCX160(156cc、旧PCX150も含む)は軽二輪クラスなので、法律上は高速道路を走行することが可能です。では、実際にPCX160で高速道路を走行した場合、そのパワーや安定性はどうなのでしょうか?
まずエンジンパワーについてですが、PCX160の最高出力は15.8馬力(PS)です。これは、絶対的な数値としては大きいものではありません。しかし、最新のeSP+エンジンは、低速から高速までスムーズで力強い加速を実現しており、高速道路の本線への合流や、80km/h~100km/h程度での巡航であれば、比較的余裕をもってこなすことができます。実際に多くのユーザーが、PCX160で高速道路を利用したツーリングを楽しんでいます。
ただし、100km/hを超える速度域からの追い越し加速や、向かい風が強い状況、あるいは急な登り坂などでは、やはりパワー不足を感じる場面が出てきます。アクセルを全開にしても、思うように速度が伸びない、エンジンが唸ってしまうといった状況も考えられます。常に追い越し車線を走るようなハイペースな走行や、頻繁な追い越しが必要な交通状況には、あまり向いていないと言えるでしょう。走行車線を流れに合わせて、ゆったりと巡航するのがPCX160の得意な走り方です。
走行安定性については、PCXはスクーターとしては比較的しっかりとしたフレームと足回りを持っており、直進安定性は良好です。100km/h程度の速度でも、不安を感じるようなふらつきは少ないでしょう。しかし、ホイールサイズが小さめ(フロント14インチ、リア13インチ)であることや、車重が軽いことから、大型バイクのような絶対的な安定感や、強い横風に対する耐性には限界があります。特に、大型トラックに追い越される際などは、風圧で車体が振られることもあるため注意が必要です。結論として、PCX160は高速道路を走行することは可能であり、ツーリングの行動範囲を広げる上で有効ですが、その性能には限界があることを理解し、無理のない速度と車間距離を保ち、安全運転を心がけることが重要です。
PCXツーリングの快適性:シート、ポジション、防風性能
- 足を伸ばせるライディングポジションでリラックスできる
- シートは厚みがあり、座り心地は良好との評価が多い
- 標準スクリーンでは防風効果は限定的、ロングスクリーンが効果的
PCXがツーリングにも使われる理由の一つに、その快適性の高さがあります。具体的に、シート、ライディングポジション、そして防風性能といった観点から、PCXのツーリングにおける快適性を見ていきましょう。
まずライディングポジションですが、PCXは足をフロアボードに置くスクータースタイルです。このフロアボードは比較的広く、足を前方に投げ出すようにして乗ることができます。この自由度の高いポジションにより、長時間の走行でも同じ姿勢で固まることがなく、疲れにくいというメリットがあります。ハンドルも自然な高さにあり、アップライトな姿勢でリラックスして運転できます。
シートについては、多くのユーザーから「座り心地が良い」「厚みがあって疲れにくい」と高く評価されています。シートの形状も、ライダーのお尻をしっかりとサポートするように設計されており、長時間の着座でも痛みが出にくいようです。ただし、これはノーマルシートの場合であり、ローダウンシートなどに交換すると、クッション性が低下して快適性が損なわれる可能性があります。また、タンデム(二人乗り)する場合の後席シートも、広さや快適性はまずまずといった評価ですが、長距離のタンデムツーリングとなると、やや窮屈に感じるかもしれません。
防風性能に関しては、標準装備のスクリーンがある程度の効果を発揮しますが、そのサイズはあまり大きくありません。そのため、胸元への風当たりは軽減されるものの、肩から上、特にヘルメット周辺への風は防ぎきれません。高速道路走行時や、寒い時期のツーリングでは、風による疲労や冷えを感じやすいでしょう。より高い防風効果を求めるのであれば、オプションや社外品で用意されているロングスクリーンへの交換が非常に効果的です。ロングスクリーンを装着することで、上半身への風圧が大幅に軽減され、高速走行や長距離走行の快適性が格段に向上します。このように、PCXは元々高い快適性を持っていますが、スクリーン交換などのカスタムによって、さらに快適なツーリングマシンへと進化させることが可能です。
積載はどうする?PCXツーリングの荷物対策(リアボックス、バッグ)
ツーリングに出かける際、避けて通れないのが荷物の問題です。着替えや雨具、お土産など、荷物は意外とかさばります。スクーターであるPCXは、シート下の収納スペースがあるとはいえ、それだけで長距離ツーリングの荷物を全て賄うのは難しいでしょう。では、PCXでツーリングに行く場合、どのように荷物を積載すれば良いのでしょうか?
まず活用したいのが、PCXの大きなメリットであるシート下のラゲッジスペースです。現行モデル(JK05/KF47)では、容量が30L確保されており、ヘルメットの種類によっては収納可能です。ヘルメットを入れない場合は、雨具や着替えなど、かなりの量の荷物を収納することができます。濡らしたくないものや、貴重品などをここに入れておけば安心です。ただし、エンジンに近い部分は熱を持つことがあるため、熱に弱いものは避けた方が良いでしょう。
シート下だけでは足りない場合、最もポピュラーで効果的なのが「リアボックス(トップケース)」の装着です。リアキャリアを取り付け、その上に専用のボックスを設置します。容量は30L程度のものから50L以上の大型のものまで様々で、フルフェイスヘルメットが2個入るような大容量タイプを選べば、キャンプ道具なども含めてかなりの荷物を積むことができます。雨風を防ぎ、鍵もかかるため、荷物の保管場所として非常に便利です。ただし、リアボックスを装着すると、見た目の重心が高くなり、走行安定性に若干の影響が出る可能性や、すり抜けがしにくくなるといったデメリットもあります。
リアボックス以外の選択肢としては、「シートバッグ」があります。リアシート部分にベルトなどで固定するタイプのバッグで、比較的簡単に脱着できるのがメリットです。容量も様々なものが販売されています。また、「サイドバッグ」を取り付けるという方法もあります。これは、車体の左右に取り付けるバッグで、リアキャリアや専用のサポートが必要になる場合が多いですが、重心を低く保ちながら積載量を増やすことができます。これらのバッグ類とシート下スペース、そして必要であればリュックサックなどを組み合わせることで、PCXでも十分にツーリングに必要な荷物を積載することが可能です。自分の荷物の量やツーリングスタイルに合わせて、最適な積載方法を選びましょう。
スクーターでのツーリングは本当に「ダサい」のか?イメージと実態
- 「スクーター=街乗り」という固定観念からダサいと感じる人もいる
- しかし、近年は高性能なスクーターも多く、ツーリング適性は高い
- バイクの楽しみ方は人それぞれ、他人の目を気にする必要はない
バイク乗りの間で、時折話題になるのが「スクーターでのツーリングはダサいのか?」という問題です。特に、本格的なマニュアル(MT)バイクに乗るライダーの中には、スクーターを一段低く見るような風潮が、残念ながら一部に存在します。PCXでツーリングを楽しみたいと考えている人にとって、この「ダサい」というイメージは気になるかもしれません。
なぜ「ダサい」と感じる人がいるのでしょうか?考えられる理由としては、まず「スクーター=街乗りの乗り物、通勤・通学の足」という固定観念が根強いことが挙げられます。ツーリングは、MTバイクでギアチェンジを駆使し、風を切って走るもの、というイメージを持つ人にとっては、オートマチックで楽に乗れるスクーターでのツーリングは、本格的ではない、あるいは格好悪いと感じてしまうのかもしれません。また、スクーターのデザインが、スポーツバイクなどと比較して実用性重視に見えることも、一因かもしれません。
しかし、この「ダサい」というイメージは、もはや時代遅れと言えるでしょう。近年のスクーター、特にPCXのようなモデルは、走行性能、快適性、燃費、積載性など、多くの面で進化を遂げており、ツーリングバイクとしての実力は非常に高いレベルにあります。実際に、PCXや他のスクーターで、日本一周や長距離ツーリングを楽しんでいるライダーは大勢います。彼らは、スクーターならではのメリット(気軽さ、快適さ、収納力など)を最大限に活かし、自分らしいスタイルでツーリングを楽しんでいます。
バイクの楽しみ方は人それぞれです。速さを追求する人もいれば、景色を楽しむ人、仲間との交流を楽しむ人もいます。どんなバイクに乗るか、どんなスタイルで乗るかは、完全に個人の自由です。他人の目を気にして、乗りたいバイクやしたいツーリングを我慢するのは、非常にもったいないことです。PCXでのツーリングは、決してダサいことではありません。むしろ、その快適性や利便性を活かした、賢く楽しいツーリングスタイルと言えるでしょう。自信を持って、PCXでのツーリングを楽しんでください。
PCXツーリングのメリット:燃費の良さ、気軽さ、収納力
PCXでツーリングをすることには、MTバイクでのツーリングとはまた違った、多くのメリットがあります。「ダサい」なんて言わせない、PCXツーリングならではの魅力を挙げてみましょう。
まず、圧倒的な「燃費の良さ」です。前述の通り、PCXは非常に優れた燃費性能を誇ります。リッター40km以上走ることも珍しくなく、ガソリン代を大幅に節約できます。これは、長距離を走れば走るほど、経済的なメリットが大きくなります。お財布に優しいので、ツーリングの頻度を増やしたり、旅先での食事や観光にお金を使ったりすることもできます。
次に、「気軽さ」と「快適さ」です。PCXはオートマチック(AT)なので、クラッチ操作やギアチェンジが不要です。これにより、渋滞路や市街地走行での左手の負担がなく、運転操作が非常に楽です。ツーリング中の疲労が少なく、景色や周囲の状況により集中できます。ライディングポジションもリラックスしており、シートの座り心地も良いため、長時間の走行でも快適です。思い立ったらすぐに走り出せる気軽さも、スクーターならではの魅力です。
そして、「収納力」の高さも大きなメリットです。シート下のラゲッジスペースは、ヘルメットや雨具、ちょっとした荷物を収納するのに非常に便利です。ツーリング先でバイクを離れる際に、ヘルメットを持ち歩かなくても良いのは大きなアドバンテージです。リアボックスなどを追加すれば、さらに大量の荷物をスマートに積載できます。MTバイクの場合、荷物の積載には工夫が必要な場合が多いですが、PCXなら気軽に荷物を積んで出かけることができます。
これらのメリットにより、PCXでのツーリングは、気負わず、快適に、そして経済的に楽しむことができます。特に、バイク初心者の方や、体力に自信のない方、あるいは普段使いの延長線上で気軽にツーリングを楽しみたい方にとっては、PCXは最高のツーリングパートナーとなり得るでしょう。
PCXツーリングを快適にするおすすめカスタム&アイテム
- ロングスクリーンで防風効果を高める
- リアボックスやシートバッグで積載量を確保
- USB電源やスマホホルダーで利便性アップ
PCXはノーマル状態でも十分にツーリングを楽しめるバイクですが、いくつかのカスタムやアイテムを追加することで、さらに快適で便利なツーリングマシンに進化させることができます。ここでは、PCXツーリングをより快適にするためのおすすめカスタム&アイテムを紹介します。
まず、最も効果的なカスタムの一つが「ロングスクリーン」への交換です。標準のスクリーンでは防風効果が限定的ですが、社外品のロングスクリーンに交換することで、走行風がライダーの上半身に当たるのを大幅に軽減できます。これにより、高速走行時の疲労が軽減されるだけでなく、寒い時期の防寒対策としても非常に有効です。様々なデザインや高さのスクリーンが販売されているので、自分の好みや体格に合わせて選ぶことができます。
次に、積載能力を向上させるアイテムです。前述の通り、「リアボックス(トップケース)」は非常に便利で、多くのPCXツーリングライダーが装着しています。雨の日でも荷物を濡らさず、鍵もかかるため安心です。リアボックスが好みでない場合は、「シートバッグ」や「サイドバッグ」を活用しましょう。自分の荷物の量やスタイルに合わせて、適切な積載アイテムを選ぶことが重要です。リアキャリアの装着が必要になる場合もあります。
その他、ツーリングの利便性を高めるアイテムとして、「USB電源」と「スマートフォンホルダー」もおすすめです。USB電源があれば、走行中にスマートフォンやナビ、インカムなどを充電することができます。スマートフォンホルダーは、ナビアプリを使用する際に非常に便利です。ハンドル周りに取り付けるタイプや、ミラーに取り付けるタイプなど、様々な製品があります。さらに、長距離走行でお尻が痛くなる場合は、「ゲルザブ」などのシートクッションを使用したり、グリップヒーターを装着して冬場の快適性を高めたりするのも良いでしょう。これらのカスタムやアイテムを賢く取り入れて、自分だけの快適なPCXツーリング仕様を作り上げてみてください。
まとめ:PCXはカスタムと工夫で最高のツーリングマシンに
- PCXのローダウンは足つき改善とスタイルアップに有効だが、乗り心地や走行性能への影響に注意が必要。
- ローダウン方法はサス交換、シート交換などがあり、パーツ選びと適切な取り付けが重要。
- PCXは優れた燃費、快適なポジション、十分な収納力でツーリング適性が高い。
- PCX160は高速道路走行も可能だが、パワーには限界があるため無理は禁物。
- 「スクーターツーリングはダサい」というイメージは過去のもの。PCXツーリングはメリット多数。
- 標準状態での積載性は低いが、リアボックスやバッグで十分にカバーできる。
- ロングスクリーンやUSB電源などのカスタムで、さらに快適なツーリングが可能。
- ローダウンやツーリングの是非は、個々の価値観やスタイルによる。
- デメリットや注意点を理解した上で、自分に合った楽しみ方を見つけることが大切。
- PCXはカスタム次第で、街乗りからロングツーリングまでこなせる万能スクーター。
こんにちは、バイク大好き運営者です!PCXのローダウンやツーリングについて、そして気になる「ダサい?」問題まで、この記事を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます!
PCXって、本当に良くできたスクーターですよね。街中をスイスイ走れるし、燃費も良くてお財布に優しい。デザインもシュッとしててカッコいい。だからこそ、「もっとこうしたい!」ってカスタム欲が湧いてきたり、「このバイクでどこか遠くへ行ってみたい!」ってツーリング欲が出てきたりするんだと思います。
ローダウンで足つきが良くなると、バイクがもっと身近に感じられますよね。信号待ちの不安がなくなるだけで、ライディングが何倍も楽しくなります。ただ、やりすぎると乗り心地が悪くなったり、段差でガリッ!なんて悲劇も…。バランスが大事ですね。
そして、PCXでのツーリング。「スクーターでしょ?」って言う人もいるかもしれないけど、全然アリ!むしろ、あの快適さと気軽さは、一度味わうとやめられない魅力があります。荷物も工夫次第でしっかり積めるし、燃費が良いからお財布にも優しい。高速だって(160なら)走れちゃう。
「ダサい」かどうかは、結局、周りの目じゃなくて、自分がどう楽しむか、ですよね。胸を張って「俺(私)のPCX、最高!」って言えれば、それが一番カッコいいと思います。
ローダウンするもしないも、ツーリングに出かけるも行かないも、全てはオーナーさんの自由。この記事が、あなたのPCXライフをより豊かにするための、ちょっとしたヒントになれば嬉しいです。
ぜひ、あなただけのスタイルで、PCXとの素敵な時間をお過ごしください!