ヤマハ MT-09。「マスター・オブ・トルク」の名を冠し、その刺激的な走りと個性的なデザインで、多くのライダーを魅了し続ける大型ネイキッドバイクです。軽量な車体にパワフルな3気筒(CP3)エンジンを搭載し、ストリートファイター然としたアグレッシブなスタイルは、唯一無二の存在感を放っています。
アクセルを開ければ、トルクフルな加速とともにフロントが浮き上がるような過激な一面も持ち合わせ、ライダーを虜にする魔力があるとも言われています。しかし、その一方で、インターネットでMT-09について調べると、「疲れる」「速すぎる」「後悔」「欠点」といった、ネガティブなキーワードも目に飛び込んできます。これほど人気があり、魅力的なバイクのはずなのに、なぜこのような声が聞かれるのでしょうか?もしかしたら、その刺激的なキャラクターゆえの扱いにくさや、長距離走行での快適性の問題、あるいは尖った性能の裏返しとしての欠点が存在するのかもしれません。「本当にそんなに疲れるの?」「自分に乗りこなせるか不安…」「買ってから後悔しないだろうか?」そんな疑問や不安を抱えている方も少なくないでしょう。
この記事では、2025年5月現在の情報に基づき、ヤマハ MT-09の購入を検討している方が「後悔」しないために、知っておくべき情報を徹底的に検証します。「疲れる」「速すぎる」と言われる理由、具体的な欠点や後悔しやすいポイントを深掘りするとともに、それらを補って余りあるMT-09ならではの魅力、そして賢い選び方や付き合い方について、ユーザーレビューや専門家の評価などを交えながら詳しく解説していきます。
- MT-09が「疲れる」「速すぎる」と言われる理由をライディングポジションやエンジン特性から分析
- 後悔につながりやすい「欠点」(乗り心地、低速での扱い、積載性など)を検証
- MT-09ならではの魅力(3気筒エンジン、軽さ、デザイン、電子制御)を解説
- 後悔しないための選び方、モデル(STD/SP)の違い、そしてMT-09との上手な付き合い方をアドバイス
MT-09の「欠点」と「後悔」ポイントを深掘り なぜ疲れるし速すぎると言われるのか?
ヤマハ MT-09は、そのエキサイティングなパフォーマンスと個性的なキャラクターで高い人気を誇る一方、「疲れる」「速すぎる」「扱いにくい」といった声や、購入後に「後悔」したという体験談も少なからず存在します。華やかな魅力の裏には、どのような「欠点」や注意すべき点が隠れているのでしょうか?このセクションでは、MT-09のネガティブな側面、つまり「後悔」につながる可能性のあるポイントに焦点を当て、その理由や背景を徹底的に分析します。まず、「疲れる」と言われる原因を探ります。ライディングポジションの設定や、エンジンから伝わる振動、シートの硬さなどが、長距離走行時の疲労にどのように影響するのでしょうか?次に、「速すぎる」という評価について。パワフルな3気筒エンジンが生み出す強烈なトルクと加速は、MT-09の大きな魅力ですが、それは同時に、乗り手を選ぶ過激さ、扱いにくさにも繋がっている可能性があります。特に、低速走行時や街乗りでのギクシャク感(ドンツキ)は、過去モデルで指摘されることの多かった課題です。現行モデルではどの程度改善されているのでしょうか?さらに、サスペンションの硬さや乗り心地、初心者にとってはハードルが高いとされる点、そして積載性の低さや燃費といった、所有してみて初めて気づくような実用面での欠点についても触れていきます。これらの「欠点」や「後悔」ポイントを事前に理解しておくことは、MT-09というバイクの持つ二面性(魅力と扱いにくさ)を正しく認識し、自分にとって本当に最適な選択なのかどうかを判断するために不可欠です。
- なぜ「疲れる」と言われる?ライディングポジションと振動の影響
- シートが硬い?長距離ツーリングでのお尻の痛み問題
- 「速すぎる」は本当?過激なパワーとトルクの扱いは難しい?
- 低速走行や街乗りでのギクシャク感(ドンツキ)は改善された?
- サスペンションが硬い?路面からの突き上げと乗り心地
- 初心者には不向き?MT-09を乗りこなすためのスキル
- 所有して気づく欠点(積載性、燃費、足つきなど)
なぜ「疲れる」と言われる?ライディングポジションと振動の影響
- MT-09のポジションは比較的アップライトですが、やや前傾気味でハンドル幅も広めです。
- 3気筒エンジン特有の振動が、特に高回転域や長時間走行時に気になる場合があります。
- 長距離ツーリングなどでは、ポジションと振動により、首、肩、手、お尻などに疲労を感じやすい傾向があります。
MT-09のネガティブなキーワードとしてよく挙がるのが「疲れる」という点です。せっかくの大型バイクなのに、乗っていて疲れてしまうというのは、購入後に「後悔」する大きな原因になりかねません。なぜMT-09は「疲れる」と言われてしまうのでしょうか?その主な要因として考えられるのが、「ライディングポジション」と「エンジン振動」です。まずライディングポジションについて見てみましょう。MT-09はネイキッドバイクであり、スーパースポーツのような極端な前傾姿勢ではありません。ハンドル位置も比較的高めで、一見すると楽なポジションに見えます。しかし、実際に跨ってみると、ステップ位置がやや後ろ気味で、シートに対してハンドルが少し遠く、若干の前傾姿勢を強いられると感じる人もいます。また、ハンドル幅が広めに設定されているため、小柄なライダーや腕の短いライダーにとっては、肩や腕に負担がかかりやすい可能性があります。この、中途半端とも言えるアップライトさと前傾姿勢の組み合わせが、長時間のライディングにおいて、首や肩、腰などにじわじわと疲労を蓄積させる原因となることがあるのです。特に高速道路などで、風圧を上半身で受け止め続けるような状況では、疲れを感じやすいでしょう。
次に「エンジン振動」の影響です。MT-09の心臓部である3気筒(CP3)エンジンは、その独特の鼓動感やフィーリングが魅力である一方、4気筒エンジンなどと比較すると振動が大きいという特性も持っています。特に、エンジンの回転数を上げていくと、ハンドルバーやシート、ステップを通じて、ビリビリとした微振動が伝わってきます。この振動の感じ方には個人差が大きく、「気にならない」「むしろ心地よい」と感じる人もいますが、「長時間乗っていると手が痺れる」「お尻がむず痒くなる」といった不快感を覚える人も少なくありません。このエンジン振動が、ライディングポジションによる疲労と相まって、MT-09が「疲れる」と言われる大きな要因となっていると考えられます。対策としては、ライディングポジションを調整する(ハンドルバーの交換やスペーサーの追加、ステップ位置の変更など)、振動を軽減する効果のあるハンドルグリップやバーエンドに交換する、あるいは厚手のグローブやインナーパンツを着用するといった方法があります。また、こまめな休憩を取ることも、疲労を蓄積させないためには重要です。しかし、根本的な解決が難しい場合もあり、特に長距離ツーリングを快適に楽しみたいと考えているライダーにとっては、MT-09の「疲れやすさ」は、購入前に十分に考慮すべき点と言えるでしょう。試乗の際には、できるだけ長い時間、様々な速度域で走行し、ポジションや振動が自分にとって許容範囲かどうかを確認することが強く推奨されます。
シートが硬い?長距離ツーリングでのお尻の痛み問題
- MT-09の純正シートは、デザイン性は高いものの、薄く硬めでクッション性が低いという評価が多いです。
- 1時間程度の連続走行でお尻が痛くなるという声が多数あり、長距離ツーリングの大きな課題です。
- 社外品のコンフォートシートへの交換や、ゲルザブ等のクッション追加が一般的な対策となります。
MT-09が「疲れる」と言われるもう一つの大きな要因、そして多くのオーナーが「後悔」または「改善したい」と感じるポイントが、「シートの硬さ」です。特に長距離ツーリングにおいて、お尻の痛みは快適性を著しく損ない、ライディングの楽しさを半減させてしまう深刻な問題となり得ます。MT-09の純正シートは、シャープでスリムな車体デザインに合わせて、薄くスタイリッシュな形状をしています。見た目のスポーティさは非常に高いのですが、その代償として、クッション性が犠牲になっていると言わざるを得ません。実際に跨ってみると、座面が硬く、角が当たるような感覚を覚える人もいます。このシートの硬さは、短時間の街乗り程度であればそれほど気にならないかもしれませんが、1時間を超えるような連続走行になると、てきめんにお尻へのダメージとして現れてきます。ユーザーレビューやSNSなどを見ると、「1時間でお尻が限界」「拷問レベルの痛さ」「ツーリングの最大の敵はシート」といった悲鳴に近い声が数多く見受けられます。これは、初代モデルから現行モデル(3代目)に至るまで、程度の差こそあれ、共通して指摘され続けているMT-09の弱点の一つと言えるでしょう。お尻の痛みに耐えながら走るのは非常につらく、せっかくのツーリングも楽しめなくなってしまいます。
では、このお尻の痛み問題に対して、どのような対策が可能なのでしょうか?最も根本的で効果的な解決策は、「社外品のコンフォートシートへの交換」です。MT-09は人気車種のため、様々なメーカーから乗り心地改善を目的としたカスタムシートが販売されています。純正シートよりも厚みを持たせ、クッション性の高い素材を使用したり、衝撃吸収ゲルを内蔵したり、座面の形状を最適化したりすることで、お尻への負担を大幅に軽減するよう設計されています。価格は数万円程度と安くはありませんが、「交換したら劇的に楽になった」「もっと早く替えればよかった」という声が多く、投資する価値は十分にあると言えるでしょう。ヤマハ純正アクセサリーとしても、コンフォートシートが用意されている場合があります。より手軽な対策としては、「ゲル内蔵クッション(通称ゲルザブなど)」をシートの上に乗せるという方法もあります。これだけでも、ある程度の痛み軽減効果は期待できます。ただし、見た目が少し野暮ったくなったり、足つき性が若干悪化したりする可能性はあります。また、ライディングパンツのパッド性能を高める、インナーパッドを追加するといった方法も補助的な対策として有効です。いずれにせよ、MT-09で長距離ツーリングを快適に楽しみたいと考えるなら、純正シートのままでは厳しい、という認識を持っておくべきです。シート交換やクッション追加といった対策費用も、購入後の予算としてある程度見込んでおくのが賢明かもしれません。これもまた、試乗時にシートの硬さをしっかり確認しておくべき重要なポイントです。
「速すぎる」は本当?過激なパワーとトルクの扱いは難しい?
- MT-09の890cc 3気筒エンジンは非常にパワフルで、特に低中回転域のトルクが強烈です。
- アクセル操作に対する反応が鋭く、ラフな操作をすると意図せずフロントが浮いたり、車体が不安定になったりする可能性があります。
- 「速すぎる」というよりは「扱いが難しい」「乗り手を選ぶ」という側面が強く、相応のスキルと慣れが必要です。
MT-09について語られる際、「疲れる」と並んでよく聞かれるのが「速すぎる」という評価です。しかし、これは単に最高速度が速いという意味だけではなく、むしろその「加速の仕方」や「パワーの出方」が過激で、ライダーにとって制御が難しい、という意味合いを強く含んでいます。この点が、一部のライダーにとっては「後悔」につながったり、あるいは「欠点」と感じられたりする要因となっています。MT-09の心臓部であるCP3エンジン(現行モデルは890cc)は、ヤマハが「クロスプレーン・コンセプト」に基づいて開発した3気筒エンジンです。このエンジンは、低中回転域から非常に力強いトルクを発生し、アクセルを開けた瞬間から猛烈な加速を味わえるのが最大の特徴です。「マスター・オブ・トルク」の名は伊達ではありません。軽い車体と相まって、その加速感は同クラスの4気筒エンジン搭載車とは一線を画す、独特の刺激的なものです。しかし、この強烈なトルクと、アクセル操作に対するダイレクトすぎるほどのレスポンスが、時として「扱いにくさ」に繋がります。特に、アクセルを開け始めの微妙なコントロールが難しく、少しラフに操作しただけで、ドンと前に飛び出すような挙動を示したり、意図せずにフロントタイヤが浮き上がったり(ウィリー)することがあります。これは、経験の浅いライダーや、穏やかな特性のバイクに慣れているライダーにとっては、恐怖を感じる原因となり、「速すぎる」「手に負えない」と感じさせてしまうのです。
現行モデル(3代目)では、電子制御スロットル(YCC-T)や、各種ライディングモード(パワーモード)、トラクションコントロールシステム(TCS)、スライドコントロールシステム(SCS)、リフトコントロールシステム(LIF)、ブレーキコントロール(BC)など、多くの電子制御技術が投入され、この過激なエンジン特性をライダーがより安全に、かつ効果的に扱えるようにサポートする工夫がなされています。ライディングモードを最も穏やかな設定にすれば、アクセルレスポンスもマイルドになり、かなり乗りやすくなります。しかし、それでもなお、MT-09の持つ本質的なパワーとトルクの大きさは変わりません。電子制御はあくまで補助であり、最終的にはライダー自身の適切なアクセルワークとマシンコントロールが求められます。したがって、「速すぎる」という評価は、単純な最高速の問題ではなく、「ライダーのスキルや経験値によっては、その有り余るパワーと鋭いレスポンスを制御しきれず、危険を感じてしまう可能性がある」という意味合いで捉えるべきでしょう。MT-09は、決して初心者向けのフレンドリーな大型バイクではありません。その刺激的なパフォーマンスを安全に楽しむためには、ある程度のライディングスキルと、バイクの特性を理解しようとする姿勢、そして何よりも「自制心」が必要不可欠なのです。この点を理解せずに購入してしまうと、「こんなはずじゃなかった」と後悔する可能性が高いと言えます。
低速走行や街乗りでのギクシャク感(ドンツキ)は改善された?
- 初期型MT-09では、低速時のアクセルオフからの再加速などでギクシャク感(ドンツキ)が指摘されていました。
- 現行モデル(3代目)では、電子制御スロットルの進化などにより、このギクシャク感は大幅に改善されています。
- しかし、パワフルなエンジンの特性上、完全にスムーズとは言えず、丁寧なアクセル操作は依然として必要です。
MT-09、特に初期型(2014年~)のオーナーやレビューでよく指摘されていた「欠点」の一つに、低速走行時や街乗りでの「ギクシャク感」、いわゆる「ドンツキ」がありました。これは、アクセルをわずかに開けた際のエンジンの反応が過敏すぎたり、逆にある程度開けないと反応しなかったりして、スムーズな加減速が難しい現象のことを指します。例えば、交差点をゆっくり曲がる際や、渋滞路でのノロノロ運転などで、アクセル操作に対して車体がギクシャクしてしまい、乗りにくさやストレスを感じる、というものでした。このドンツキが、MT-09は「街乗りが苦手」「疲れる」といった評価や、「後悔」の声につながる一因ともなっていました。では、モデルチェンジを経て、現行の3代目MT-09(2021年~)では、この問題は改善されているのでしょうか?結論から言うと、「大幅に改善されている」と言えます。ヤマハもこの課題は認識しており、モデルチェンジごとに電子制御スロットル(YCC-T)のセッティング見直しや、エンジン制御(ECU)の改良などを重ねてきました。特に現行モデルでは、IMU(慣性計測ユニット)を含む高度な電子制御システムが搭載され、アクセル開度や車体姿勢など、様々な情報に基づいて燃料噴射や点火時期を精密にコントロールすることで、低速域でのスロットルレスポンスがより自然で扱いやすいものになっています。
多くのジャーナリストによる試乗レビューや、実際に現行モデルに乗っているユーザーの声を聞いても、「初期型にあったような酷いドンツキはほぼ解消された」「街中でもかなり乗りやすくなった」「ライディングモードで穏やかな設定を選べばスムーズ」といった肯定的な評価が多数を占めています。しかし、注意点もあります。いくら電子制御が進化したとはいえ、MT-09の持つパワフルでトルクフルなエンジン特性そのものが変わったわけではありません。依然としてアクセル操作に対する反応は鋭敏であり、特に最もスポーティなライディングモードを選択した場合などは、丁寧なアクセルワークを心がけないと、ギクシャクとした挙動が出てしまう可能性は残っています。完全にスムーズで従順なエンジンになったというよりは、「以前よりも格段に扱いやすくなった」と表現するのが適切かもしれません。また、3気筒エンジン特有のパルス感や、低回転域での若干のラフさのようなものは、エンジンの「味」として残されています。これを「ギクシャク感」と感じるかどうかは、個人差もあるでしょう。もし、過去のMT-09のドンツキに関するネガティブな情報だけを見て購入をためらっているのであれば、ぜひ一度現行モデルに試乗してみることをお勧めします。その進化と、依然として残る(かもしれない)MT-09らしさを、自分の感覚で確かめてみてください。少なくとも、初期型のような扱いにくさで「後悔」する可能性は、大幅に低減されているはずです。
サスペンションが硬い?路面からの突き上げと乗り心地
- MT-09(STDモデル)のサスペンションは、スポーティな走りを意識したやや硬めの設定です。
- 路面の悪い場所や段差などでは、ゴツゴツとした突き上げ感があり、乗り心地が良いとは言えません。
- より上質な乗り心地や調整機能を求めるなら、オーリンズ製サスを装備したSPモデルがおすすめです。
乗り心地に大きく影響する要素として、シートの硬さと並んで重要なのが「サスペンション」の性能です。MT-09のサスペンションについては、特にスタンダード(STD)モデルに関して、「硬すぎる」「路面からの突き上げが気になる」といった声が聞かれ、これが「疲れる」原因や「後悔」ポイントとなることがあります。MT-09のサスペンションは、そのスポーティなキャラクターに合わせて、どちらかというと硬めのセッティングが施されています。これにより、ワインディングなどでの安定したコーナリング性能や、加減速時の車体姿勢の安定化を図っています。しかし、その反面、街中や路面状況の悪い道路を走行する際には、路面の凹凸や段差からの衝撃を吸収しきれず、ゴツゴツとした突き上げ感をライダーに伝えてしまう傾向があります。特に、マンホールの蓋や道路の継ぎ目などを通過した際に、ガツンとした衝撃を感じることがあり、これが乗り心地の悪さ、ひいては疲労の蓄積につながるのです。しなやかで快適な乗り心地を期待していると、この硬さが不満となり、「後悔」してしまうかもしれません。
ただし、サスペンションの硬さの感じ方にも個人差がありますし、年式によってもセッティングは変更されています。現行モデル(3代目)では、フレーム剛性の見直しなども含め、サスペンションの動きも改善されており、初期型と比較すると乗り心地は向上しているという評価もあります。また、STDモデルのサスペンションにも、プリロード(初期荷重)と伸側減衰力の調整機能(フロントは左右独立、リア)が付いているため、ある程度自分の好みや体重に合わせてセッティングを変更することは可能です。しかし、調整範囲には限界があり、根本的に乗り心地を改善するのは難しいかもしれません。もし、MT-09のスポーティな走りは魅力的だけど、乗り心地の悪さがどうしても気になる、という場合には、「MT-09 SP」という上級モデルを選択肢に入れるのが良いでしょう。SPモデルには、フロントにKYB製の高性能倒立フォーク(DLCコーティング、圧側・伸側の減衰力調整可能)、リアにはオーリンズ製のフルアジャスタブルリアショックアブソーバーが標準装備されています。これらの高品質なサスペンションは、路面追従性に優れ、STDモデルと比較して格段にしなやかで上質な乗り心地を提供してくれます。もちろん、価格はSTDモデルよりも高くなりますが、乗り心地と走行性能の両方を高いレベルで求めるのであれば、SPモデルを選ぶ価値は十分にあると言えます。STDモデルを検討している場合は、試乗の際に、あえて路面の悪い場所を走ってみるなどして、サスペンションの硬さや突き上げ感が自分にとって許容範囲かを確認することが、後悔しないためには重要です。
初心者には不向き?MT-09を乗りこなすためのスキル
- MT-09のパワフルなエンジンと鋭いレスポンスは、バイク経験の浅い初心者には扱いにくい可能性があります。
- 軽量で足つき性は悪くないものの、マシンコントロールには相応のスキルと慣れが必要です。
- 電子制御の助けはあるものの、過信は禁物。ステップアップを目指す中級者以上におすすめのモデルと言えます。
「MT-09は初心者には不向き」「乗り手を選ぶバイクだ」といった声を聞くことがあります。そのパワフルなエンジン、鋭いレスポンス、そしてアグレッシブなキャラクターから、バイクの運転にまだ慣れていない人が扱うには危険なのではないか、という懸念です。もし、初めての大型バイクとしてMT-09を検討している場合、この点は非常に気になるところでしょう。果たして、MT-09は本当に初心者には不向きなのでしょうか?そして、乗りこなすためにはどのようなスキルが必要なのでしょうか?まず結論から言うと、MT-09は「全くのバイク初心者」や「運転に自信がない人」には、積極的におすすめできるモデルとは言い難い面があります。その最大の理由は、やはり「エンジン性能」にあります。前述の通り、MT-09のエンジンは非常にトルクフルで、アクセル操作に対する反応がダイレクトです。これは経験豊富なライダーにとってはエキサイティングな魅力となりますが、経験の浅いライダーにとっては、意図しない急加速やフロントリフト(ウィリー)を誘発しやすく、恐怖心やパニックにつながる可能性があります。特に、微妙なアクセルコントロールが求められる低速走行や、滑りやすい路面状況などでは、その扱いにくさが露呈しやすくなります。
もちろん、MT-09にはメリットもあります。車体は大型バイクとしては非常に軽量(装備重量189kg ※STD)であり、取り回しは比較的楽です。シート高も825mmと、クラス標準レベルで、足つき性も絶望的に悪いわけではありません(身長によっては厳しい場合もあります)。ライディングモードを最も穏やかな設定にすれば、パワーデリバリーもマイルドになりますし、トラクションコントロールやABSといった電子制御も、万が一の際の安全マージンを高めてくれます。しかし、これらの要素をもってしても、MT-09の持つ本質的な「過激さ」が完全に消えるわけではありません。電子制御はあくまでライダーの操作を補助するものであり、それに頼り切った運転は危険です。MT-09を安全に楽しむためには、まず「スムーズで丁寧なアクセルワーク」が大前提となります。そして、バイクの挙動変化(加減速やコーナリング時のピッチングなど)をしっかりと感じ取り、それに対応できる「マシンコントロール能力」が必要です。さらに、有り余るパワーに振り回されず、常に冷静さを保つ「自制心」も欠かせません。これらのスキルは、ある程度のバイク経験を積むことで身についていくものです。したがって、全くの初心者の方が、最初の大型バイクとしてMT-09を選ぶのは、ややハードルが高いと言わざるを得ません。まずは、より穏やかな特性のバイク(例えばMT-07や、他メーカーのミドルクラスネイキッドなど)で経験を積み、スキルアップしてからステップアップとしてMT-09を目指す、というのが、後悔しないための、そして安全のための賢明な選択と言えるかもしれません。もちろん、個人の技量やセンス、練習環境にもよるので一概には言えませんが、少なくとも「初心者向けの優しいバイクではない」ということは認識しておくべきでしょう。
所有して気づく欠点(積載性、燃費、足つきなど)
- MT-09はデザイン重視のため、荷物の積載性はほとんど考慮されていません。
- 燃費はWMTCモード値で19.6km/Lと、大型バイクとしては標準的ですが、良くはありません。
- シート高は825mmとやや高めで、足つき性に不安を感じるライダーもいます。
エンジン性能や乗り心地、ポジションといった走行に関する部分以外にも、実際にMT-09を所有してみて初めて気づく「欠点」や「不便な点」というものが存在します。これらは、購入前の試乗だけではなかなか分かりにくい部分であり、日々の使い勝手に関わるため、後々「後悔」につながる可能性も秘めています。具体的にどのような点が挙げられるのでしょうか?まず、「積載性の低さ」です。MT-09は、その名の通り「マスター・オブ・トルク」を体現する走りに特化したネイキッドバイクであり、デザインも非常に先鋭的です。そのため、荷物を積むことについては、ほとんど考慮されていません。シート下の収納スペースはETC車載器を入れるのがやっと、というレベルで、書類や工具すら入れるのに苦労します。タンデムシートも小さく、形状もフラットではないため、シートバッグなどを安定して取り付けるのが難しいです。荷掛けフックもほとんどありません。日帰りツーリング程度ならリュックサックで対応できるかもしれませんが、一泊以上の荷物や、キャンプ道具などを積載するには、リアキャリアやサイドバッグサポートなどを追加で装着する必要があり、追加費用と手間がかかります。日常の買い物などでも、荷物の置き場に困ることが多いでしょう。
次に、「燃費」です。MT-09(現行モデル)のWMTCモード燃費は19.6km/Lです。これは、890ccという排気量を考えれば、決して悪い数値ではありませんが、特に優れているわけでもありません。ツーリングなどで燃費を意識した走りをすれば、20km/L台前半くらいは期待できるかもしれませんが、街乗り中心だったり、スポーティな走り方をしたりすると、15km/L前後に落ち込むこともあります。燃料タンク容量は14Lなので、航続距離は200km~300km程度が目安となります。最近の燃費の良いバイクに慣れていると、給油頻度の多さが少し気になるかもしれません。そして、「足つき性」です。シート高は825mmと、大型ネイキッドとしては標準的な高さですが、決して低いわけではありません。また、シート幅がある程度あるため、スペック上の数値以上に足つきが悪く感じられることもあります。身長170cm以下のライダーだと、両足の踵までべったりと着くのは難しいかもしれません。車体が軽量なので支えるのは比較的楽ですが、信号待ちや不整地での停車時などに、足つきに不安を感じるライダーもいるでしょう。ローダウンキットなども販売されていますが、サスペンション性能やハンドリングに影響が出る可能性もあります。その他、細かい点としては、メーターの表示情報がもう少し欲しい(例えば外気温表示など)、ヘッドライトのデザインが個性的すぎる(好みが分かれる)、などの声も聞かれます。これらの点は、致命的な欠点というわけではありませんが、購入前に知っておくことで、後々のギャップや不満を減らすことができるでしょう。
刺激と快感!MT-09ならではの魅力と後悔しない理由
ここまでMT-09の「欠点」や「後悔」ポイントとなり得る側面を詳しく見てきましたが、もちろん、それらを差し引いても余りあるほどの強烈な「魅力」がMT-09には存在します。そうでなければ、これほどまでに多くのライダーを惹きつけ、熱狂的なファンを生み出すことはないでしょう。このセクションでは、MT-09が持つ唯一無二の魅力、そして「後悔しない」どころか、「最高のバイクだ!」と思わせてくれる理由を存分にご紹介します。その筆頭は、やはり「パワフルで官能的な3気筒(CP3)エンジン」の存在です。低回転から湧き上がるトルク、高回転までスムーズに吹け上がるフィーリング、そして独特のサウンドは、一度味わうと病みつきになると言われます。次に、「クラスを超えた軽快感」をもたらす軽量な車体。これがエンジンパワーと組み合わさることで、MT-09ならではの刺激的なハンドリングと運動性能を生み出します。デザイン面でも、「個性的でアグレッシブ」なスタイルは、他のバイクとは一線を画す存在感を放ち、所有する喜びを満たしてくれます。さらに、現行モデルでは「進化した電子制御」が搭載され、ライダーはより安全に、かつ積極的にそのパフォーマンスを引き出すことが可能になりました。上級モデルである「SP」を選べば、オーリンズ製サスペンションなど、さらに質の高い走りを手に入れることもできます。そして、人気車種ならではの「豊富なカスタムパーツ」により、自分好みの一台に仕上げていく楽しみも無限大です。これらの魅力が、MT-09を単なる移動手段ではなく、ライダーの五感を刺激し、日常を非日常に変える特別なマシンたらしめているのです。
- 病みつきになる!パワフルで官能的な3気筒(CP3)エンジンの魅力
- クラスを超えた軽快感!軽量な車体が生み出すハンドリング
- 個性的でアグレッシブ!唯一無二のMTシリーズデザイン
- 進化した電子制御!ライディングモードやトラコンの恩恵
- SPモデルという選択肢!オーリンズサスなどの上級装備
- カスタムパーツも豊富!自分だけのMT-09を作り上げる喜び
- MT-09だから味わえる刺激的なバイクライフ
病みつきになる!パワフルで官能的な3気筒(CP3)エンジンの魅力
- MT-09の890cc 3気筒(CP3)エンジンは、低中速のトルクと高回転の伸びを両立した独特のキャラクター。
- アクセルを開けた瞬間のトルクフルな加速感と、独特のエンジンサウンドがライダーを魅了します。
- 2気筒の鼓動感と4気筒の滑らかさの良いとこ取りとも言われ、一度味わうと忘れられないフィーリングです。
MT-09の核心であり、その魅力を語る上で絶対に外せないのが、心臓部である「3気筒(CP3)エンジン」の存在です。ヤマハが「クロスプレーン・コンセプト」に基づき開発したこのエンジンは、他の気筒数(2気筒や4気筒)とは全く異なる、独特のフィーリングとパフォーマンスを提供し、多くのライダーを虜にしています。「後悔」ポイントとして挙げられたパワーの過激さや扱いにくさも、裏を返せばこのエンジンの魅力の裏返しなのです。現行モデルに搭載されるのは、排気量890ccの水冷DOHC4バルブ並列3気筒エンジン。最高出力は120PS/10,000rpm、最大トルクは93N・m/7,000rpmと、十分すぎるほどのパワーとトルクを誇ります。しかし、MT-09のエンジンの魅力は、単にスペック上の数値が高いことだけではありません。その「キャラクター」が非常にユニークなのです。一般的に、2気筒エンジンは低中回転域のトルクや鼓動感が魅力ですが、高回転域での伸びや滑らかさでは4気筒に劣ります。一方、4気筒エンジンは高回転域でのパワーや滑らかなフィーリングが魅力ですが、低中回転域のトルク感では2気筒に譲る傾向があります。MT-09の3気筒エンジンは、まるでその両者の「良いとこ取り」をしたかのような特性を持っていると言われます。
まず、アクセルを開けた瞬間に、低回転域からでも力強いトルクが湧き上がり、車体をグイグイと前に押し出します。このトルクの立ち上がりの鋭さが、「マスター・オブ・トルク」たる所以であり、街乗りやワインディングでの立ち上がり加速で、非常にエキサイティングな感覚を味わわせてくれます。そして、そのまま回転数を上げていくと、淀みなくスムーズに、かつパワフルに吹け上がり、高回転域まで気持ちの良い伸びを見せてくれます。この全域にわたるトルクフルさと、高回転まで回す楽しさを両立しているのが、CP3エンジンの大きな魅力です。さらに、「エンジンサウンド」も独特です。3気筒エンジンならではの、ややハスキーでメカニカルなノイズを含んだ排気音は、回転数を上げるにつれて官能的な高まりを見せ、ライダーの気分を高揚させます。このサウンドに魅了されるファンも少なくありません。このように、MT-09のCP3エンジンは、ただパワフルなだけでなく、ライダーの感性に訴えかけるような、非常に「官能的」な魅力を持っています。扱いにくさという側面も併せ持ちますが、それを乗りこなした時の快感、そしてこのエンジンでしか味わえない独特のフィーリングこそが、MT-09を唯一無二の存在たらしめ、多くのライダーを「後悔」させない、強烈な魅力となっているのです。
クラスを超えた軽快感!軽量な車体が生み出すハンドリング
- MT-09の装備重量189kg(STD)は、大型ネイキッドクラスの中でもトップレベルの軽さです。
- この軽さが、ヒラヒラと舞うような軽快なハンドリングと高い運動性能を実現しています。
- ワインディングやジムカーナなど、バイクを積極的に操る楽しさを存分に味わえます。
MT-09の強烈なエンジンパワーを受け止め、そしてその魅力を最大限に引き出しているのが、「軽量な車体」です。現行モデル(3代目)のMT-09(STD)の装備重量は189kg。これは、890ccという排気量を持つ大型ネイキッドバイクとしては、驚くほど軽い数値です。同クラスのライバル車種と比較しても、10kg以上軽いケースも珍しくありません。この「クラスを超えた軽さ」が、MT-09のハンドリングを非常に軽快なものにし、ライダーに「バイクを操る楽しさ」を存分に味合わせてくれるのです。これもまた、「後悔しない」どころか、MT-09を選ぶ大きな理由となる魅力です。この軽さは、まず「取り回し」の良さに貢献します。前述の通り、装備重量で190kgを切る軽さは、大型バイクとしては異例であり、駐輪場での押し引きや、狭い場所でのUターンなどを、比較的楽に行うことができます。大型バイクの「重さ」に対する不安感を軽減し、より気軽に乗り出せるというのは、日常的な使い勝手において大きなメリットです。しかし、MT-09の軽さが最も真価を発揮するのは、やはり「走行中」でしょう。
走り出してすぐに感じるのは、そのヒラヒラとした軽快なハンドリングです。まるでミドルクラスのバイクに乗っているかのような感覚で、ライダーの意思に対して素直に、そして俊敏に車体が反応してくれます。交差点を曲がる、レーンチェンジをするといった何気ない操作から、ワインディングロードでの切り返しまで、とにかくバイクを操ることが楽しく感じられます。パワフルなエンジンとこの軽量な車体の組み合わせが、MT-09ならではの刺激的な運動性能を生み出しているのです。コーナーリング中も、軽い車体のおかげでラインの自由度が高く、狙ったラインをトレースしやすいと感じるでしょう。また、加減速時の車体の動きも軽快で、ブレーキングからコーナーへの進入、そして立ち上がり加速までの一連の動作が、非常にリズミカルに行えます。ジムカーナのような、バイクを積極的にコントロールする競技においても、MT-09はその軽さを武器に高いパフォーマンスを発揮します。もちろん、軽さゆえに高速走行時の安定性という点では、より重量のあるバイクに一歩譲る面もあるかもしれません。しかし、それを補って余りあるほどの「操る楽しさ」がMT-09にはあります。バイクはパワーだけでなく、軽さも重要な要素である、ということを改めて教えてくれる。そんな、乗るたびにバイクを操る喜びを再認識させてくれる軽快感こそが、MT-09が多くのライダーを魅了し、満足させている大きな理由なのです。
個性的でアグレッシブ!唯一無二のMTシリーズデザイン
- MT-09のデザインは、日本の「能」や「ダークサイド・オブ・ジャパン」をコンセプトとした、個性的でアグレッシブなスタイルです。
- 他のバイクにはない独特の存在感を放ち、所有する喜びを満たしてくれます。
- 特に現行モデルの、コンパクトなLEDヘッドライトを中心としたフロントマスクは印象的です。
バイクの性能や乗り味と同じくらい、あるいはそれ以上に、所有する上で重要となるのが「デザイン」です。ヤマハのMTシリーズは、その初代モデルから一貫して、他のネイキッドバイクとは一線を画す、個性的でアグレッシブなデザインを採用しており、MT-09もその例に漏れません。この独特のデザインが、多くのライダーの心を掴み、「後悔しない」満足感、そして所有する喜びを与えています。MTシリーズのデザインコンセプトは「The Dark Side of Japan」。日本のストリートカルチャーや、夜の都会の持つ二面性(静けさと刺激)などにインスパイアされた、ダークでシャープな世界観を表現しています。MT-09のデザインも、このコンセプトに基づいており、無駄を削ぎ落とした凝縮感のあるフォルムと、エッジの効いたディテールが特徴です。特に印象的なのが「フロントマスク」のデザインです。現行モデル(3代目)では、非常にコンパクトなバイファンクションLEDプロジェクターヘッドライトを中央に配置し、その両脇にLEDポジションランプを配した、まるでロボットの顔のような、未来的で挑戦的なデザインを採用しています。このフロントマスクは、発表当初から賛否両論がありましたが、今ではMT-09のアイデンティティとして広く認知され、その独自性を際立たせています。
サイドビューも特徴的です。燃料タンクは、ニーグリップしやすい形状ながらも、筋肉質なボリューム感を持ち、フレームやエンジンといったメカニカルな部分を強調するデザインとなっています。シート周りも非常にスリムで、テールエンドは短く切り詰められており、マス(塊感)が車体中央に集中したような、ダイナミックな印象を与えます。3気筒エンジンそのものの造形や、独特の取り回しを持つエキゾーストパイプも、デザインの一部として魅力的に見せています。カラーリングも、MTシリーズらしいダークトーンを基調としつつ、アクセントカラー(例えばシアンのホイールなど)を効果的に使うことで、モダンで洗練された雰囲気を演出しています。このように、MT-09のデザインは、単にカッコいいというだけでなく、ヤマハのデザイン哲学や世界観が色濃く反映された、非常に「個性的」で「アグレッシブ」なものです。好き嫌いが分かれる可能性もありますが、ハマる人にとっては、他のどのバイクにも代えがたい魅力となるでしょう。街中で、あるいはツーリング先で、自分のMT-09を見たときに、「やっぱりカッコいいな」と思える。そんな、所有する喜びと誇りを感じさせてくれるデザインが、MT-09には備わっているのです。これもまた、後悔とは無縁のバイクライフを送るための、重要な要素と言えるでしょう。
進化した電子制御!ライディングモードやトラコンの恩恵
- 現行MT-09には、6軸IMUを搭載し、高度な電子制御システム(トラコン、スライドコントロール、リフトコントロール等)が装備されています。
- これにより、パワフルなエンジンをより安全に、かつライダーの意のままにコントロールしやすくなりました。
- ライディングモードの選択により、状況や好みに合わせてエンジン特性を変更することも可能です。
MT-09の「速すぎる」「扱いにくい」といった側面は、特に初期型において顕著でしたが、現行モデル(3代目、2021年~)では、ヤマハの最先端技術である「電子制御システム」が多数投入され、そのパフォーマンスをより安全に、かつ効果的に引き出すことが可能になっています。この進化した電子制御の存在が、MT-09を単なる「じゃじゃ馬」から、「乗りこなす楽しみ」のある洗練されたマシンへと昇華させ、ライダーに大きな安心感と満足感を与えています。「後悔しない」ための重要な要素と言えるでしょう。その中核となるのが、「6軸IMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測ユニット)」です。これは、ピッチ、ロール、ヨーの回転方向と、前後、上下、左右の加速度を検知するセンサーであり、バイクの姿勢や動きをリアルタイムで精密に把握することができます。このIMUからの情報をもとに、様々な電子制御システムが連携して作動します。代表的なものが「トラクションコントロールシステム(TCS)」です。後輪のスリップを検知すると、エンジントルクを制御してスリップを抑制し、安定した加速をサポートします。特に滑りやすい路面や、コーナーの立ち上がりなどで効果を発揮します。「スライドコントロールシステム(SCS)」は、コーナリング中に後輪が横滑りするのを抑制し、「リフトコントロールシステム(LIF)」は、急加速時のフロントタイヤの浮き上がり(ウィリー)を抑制します。これらのシステムにより、ライダーは有り余るパワーに振り回されることなく、より安心してアクセルを開けていくことができるのです。
さらに、「ライディングモード(D-MODE)」も搭載されています。これは、ライダーの好みや走行状況に合わせて、エンジン(スロットル)のレスポンスを複数段階(例えば、最もシャープな「1」から、最も穏やかな「4」まで)から選択できる機能です。街乗りや雨天時には穏やかなモードを、ワインディングやサーキットではシャープなモードを選ぶ、といった使い分けが可能です。これにより、MT-09の持つ二面性(過激さと扱いやすさ)を、ライダー自身がコントロールすることができます。ブレーキシステムにも、「ブレーキコントロール(BC)」と呼ばれる、ABSと連携してバンク角に応じて介入度を調整するシステムが採用されており、コーナリング中のブレーキングにおける安心感を高めています。また、クラッチ操作なしでシフトアップ&ダウンが可能な「クイックシフター(QSS)」も標準装備(STDモデルはアップのみ、SPモデルはアップ/ダウン対応の場合あり、年式要確認)されており、よりスムーズでスポーティなライディングをサポートします。これらの高度な電子制御システムは、MT-09の刺激的なパフォーマンスをスポイルすることなく、ライダーのスキルを補い、安全マージンを高めてくれる、まさに「縁の下の力持ち」です。かつての「扱いにくさ」のイメージを払拭し、より多くのライダーがMT-09の魅力を安全に楽しめるようになったのは、この電子制御技術の進化によるところが大きいと言えるでしょう。
SPモデルという選択肢!オーリンズサスなどの上級装備
- MT-09には、スタンダードモデル(STD)に加え、上級モデルの「SP」がラインナップされています。
- SPモデルには、前後オーリンズ製サスペンションやクルーズコントロールなど、より高品質な装備が奢られています。
- 乗り心地や走行性能、質感をさらに高めたいライダーにとって、SPは非常に魅力的な選択肢です。
MT-09を検討する上で、忘れてはならないのが「SP」モデルの存在です。SPは「スポーツ・プロダクション」を意味し、スタンダード(STD)モデルをベースに、足回りなどを中心に、より高品質なパーツを装備した上級バージョンです。STDモデルでも十分な性能と魅力を持つMT-09ですが、「さらに上質な乗り心地を求めたい」「よりスポーティな走行性能が欲しい」「所有感を高めたい」と考えるライダーにとって、このSPモデルは非常に魅力的な選択肢となり、「後悔しない」ための、あるいは更なる満足を得るための答えとなるかもしれません。SPモデルの最大の特徴は、何と言っても「足回り」のグレードアップです。フロントサスペンションには、DLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)コーティングが施されたインナーチューブを持つKYB製の倒立フォーク(圧側・伸側減衰力を高速・低速で独立調整可能など、STDより高機能)が、そしてリアには、スウェーデンの名門「オーリンズ」製のフルアジャスタブルリアショックアブソーバーが標準装備されています(年式により仕様は異なります)。これらの高品質なサスペンションは、路面追従性、衝撃吸収性、そして減衰特性に優れており、STDモデルと比較して、格段にしなやかで上質な乗り心地と、より高い次元でのスポーツ走行性能を両立しています。STDモデルで指摘されがちなサスペンションの硬さや突き上げ感も、SPモデルでは大幅に改善されており、長距離ツーリングでの快適性も向上します。
足回り以外にも、SPモデルならではの上級装備がいくつかあります。例えば、「クルーズコントロールシステム」。高速道路などで設定した速度を維持してくれる機能で、長距離走行時のライダーの疲労軽減に大きく貢献します。また、シート表皮がダブルステッチ入りの高級感のあるものに変更されていたり、スイングアームがバフ掛け&アルマイト仕上げになっていたり、ブレーキリザーバータンクがスモークタイプになっていたりと、細部の質感も高められています。専用のカラーリング(例えば、ヤマハのレーシングマシンYZF-R1Mを彷彿とさせるシルバー系など)も、SPモデルの特別感を演出しています。クイックシフターも、STDモデルではアップのみ対応の年式でも、SPではアップ/ダウン両対応となっている場合があります。もちろん、これらの上級装備が追加される分、SPモデルの車両価格はSTDモデルよりも高価になります(一般的に十数万円~二十万円程度の差)。しかし、もしSTDモデルを購入してから、サスペンションなどを同等レベルのものにカスタムしようとすると、はるかに高額な費用がかかることを考えれば、SPモデルの価格設定はむしろリーズナブルと考えることもできます。乗り心地や走行性能に妥協したくない、最初から質の高いパーツが組み込まれたモデルが欲しい、というライダーにとっては、MT-09 SPは非常に賢明で、満足度の高い選択となるでしょう。STDとSP、どちらが自分に合っているか、予算や求める性能レベルを考慮して、じっくりと比較検討することをお勧めします。
カスタムパーツも豊富!自分だけのMT-09を作り上げる喜び
- MT-09は世界的に人気の高いモデルのため、カスタムパーツの種類が非常に豊富です。
- マフラー、ステップ、スクリーン、外装、サスペンションなど、性能向上からドレスアップまで自由自在。
- 自分だけのオリジナリティあふれる一台を創造するプロセスは、MT-09の大きな楽しみの一つです。
MT-09の魅力は、ノーマル状態での高いパフォーマンスやデザインだけにとどまりません。人気車種であるがゆえの「豊富なカスタムパーツ」の存在も、多くのオーナーにとって「後悔しない」どころか、バイクライフをさらに豊かにしてくれる大きな要素となっています。MT-09は、その刺激的なキャラクターと個性的なデザインから、オーナーのカスタム欲を強く刺激するバイクでもあります。そして、その期待に応えるかのように、国内外の数多くのパーツメーカーから、驚くほど多様なカスタムパーツがリリースされているのです。これにより、ライダーは自分の好みや用途、予算に合わせて、文字通り「自分だけの一台」を作り上げていく楽しみを味わうことができます。どのようなカスタムが可能なのでしょうか?まず定番なのは、やはり「マフラー交換」でしょう。純正マフラーのデザインやサウンドに物足りなさを感じるオーナーは多く、社外品のスリップオンマフラーやフルエキゾーストシステムに交換することで、見た目の迫力アップ、軽量化、そして3気筒エンジンならではのサウンドをより強調することができます。ただし、車検対応品を選ぶことや、場合によっては燃調セッティングが必要になる点には注意が必要です。次に、ライディングポジションや操作性に関わるカスタムです。「バックステップ」に交換してよりスポーティなポジションにしたり、「ハンドルバー」を交換して好みの高さや幅に調整したり、「調整式レバー」で操作性を向上させたりすることが可能です。長距離ツーリングでの快適性を高めるなら、「ハイスクリーン」や「コンフォートシート」への交換が効果的です。
外装パーツも豊富です。「フェンダーレスキット」でリアビューをスッキリさせたり、「エンジンガード」や「スライダー」で万が一の転倒に備えたり、「カーボンパーツ」で軽量化とドレスアップを図ったりと、様々な選択肢があります。「サスペンション」のアップグレードも人気のカスタムです。STDモデルの乗り心地に不満がある場合や、より高い走行性能を求める場合に、社外品の高性能サスペンション(オーリンズなど)に交換するという選択肢があります(ただし高価です)。その他にも、灯火類をより明るいLEDに交換したり、メーター周りにアクセサリーを追加したり、ステッカーやカラーリングで個性を演出したりと、アイデア次第でカスタムの可能性は無限に広がります。もちろん、カスタムには費用がかかりますし、パーツの選択や取り付けには知識や技術が必要です。また、改造によってはバランスを崩したり、車検に通らなくなったりするリスクもあります。しかし、自分の手で理想のMT-09を作り上げていく過程は、バイクいじりが好きなライダーにとっては至福の時間であり、完成したマシンへの愛着は格別なものとなるでしょう。この「カスタムする楽しみ」があるからこそ、MT-09は長く乗り続けても飽きることがなく、オーナーに深い満足感を与え続けてくれるのです。
MT-09だから味わえる刺激的なバイクライフ
- MT-09は、日常の中に非日常的な興奮と刺激をもたらしてくれるマシンです。
- パワフルなエンジンと軽量な車体が織りなす、意のままに操る感覚はMT-09ならでは。
- 乗り手を選ぶ側面もあるが、それを乗りこなす達成感と喜びは格別です。
結局のところ、MT-09というバイクは、ライダーにどのような体験を提供してくれるのでしょうか?「疲れる」「速すぎる」「欠点もある」…そういった側面を理解した上で、それでもなお多くの人々を惹きつける、MT-09だからこそ味わえる「刺激的なバイクライフ」とは、一体どのようなものなのでしょうか。それは、単なる移動手段としてのバイクではなく、ライダーの五感を鋭く刺激し、日常の中に「非日常的な興奮」をもたらしてくれる存在、と言えるかもしれません。MT-09に跨り、エンジンを始動させると、まず3気筒エンジン特有のサウンドと振動が、これから始まる特別な体験を予感させます。そしてひとたびアクセルを開ければ、まるで猛獣が解き放たれたかのように、強烈なトルクが体を押し出し、景色が後ろへ飛んでいくような加速が始まります。この、理性を少し麻痺させるような、アドレナリンが放出される感覚こそが、MT-09の真骨頂です。軽量な車体は、ライダーの入力に対して驚くほど素直に、そして俊敏に反応します。コーナーが連続するワインディングロードでは、まるでダンスを踊るかのように、右へ左へと軽快に車体を切り返していくことができます。パワフルなエンジンを、軽量な車体で意のままに操る…この「人馬一体感」こそが、MT-09が提供してくれる最もピュアなライディングプレジャーなのです。
もちろん、そのパフォーマンスは常にライダーに緊張感を強います。有り余るパワー、鋭すぎるレスポンス、時には不安定な挙動。MT-09は、決してライダーに優しいだけのバイクではありません。だからこそ、「乗りこなす」という挑戦意欲をかき立てられます。自分のスキルを磨き、バイクの特性を理解し、徐々にMT-09との対話を深めていく。そして、ついに意のままに操れるようになったと感じた時の達成感と喜びは、他のバイクではなかなか味わえない、格別なものがあるでしょう。それは、単に速く走るということだけでなく、自分自身の成長を実感できる体験でもあります。MT-09と共に過ごす時間は、決して退屈なものにはなりません。街を流しているだけでも、その個性的なデザインと存在感で注目を集め、所有する喜びを感じさせてくれます。ツーリングに出れば、道中のワインディングでその運動性能を存分に発揮し、ライダーを飽きさせません。時にはカスタムを楽しみ、自分だけの一台を作り上げる喜びも味わえます。確かに「疲れる」こともあるかもしれません。「速すぎる」と感じることもあるかもしれません。しかし、それらを補って余りあるほどの「刺激」と「興奮」、そして「操る楽しさ」がMT-09には詰まっています。日常から少しだけエスケープし、心を解き放つような、そんな刺激的なバイクライフを求めているライダーにとって、MT-09は最高の相棒となり、「後悔」とは無縁の、忘れられない体験を提供してくれるはずです。
まとめ:MT-09の「じゃじゃ馬」な魅力を理解し、後悔しない選択を
- MT-09は「マスター・オブ・トルク」の名に恥じない、パワフルで刺激的な3気筒エンジンが最大の魅力。
- クラス随一の軽量な車体と相まって、非常に軽快でエキサイティングなハンドリングを楽しめる。
- 個性的でアグレッシブなデザインは、唯一無二の存在感を放ち、所有感を満たす。
- 「疲れる」原因は、やや前傾のポジション、振動、硬めのシートなどが複合的に影響。長距離には対策推奨。
- 「速すぎる」は、パワーとレスポンスの鋭さからくる扱いにくさ。相応のスキルと慣れ、自制心が必要。
- 低速でのギクシャク感(ドンツキ)は現行モデルで大幅改善。サスも進化したが、硬めなのはSTDの特性。
- 初心者にはややハードルが高い。電子制御は強力な味方だが、過信は禁物。
- 積載性は低く、燃費も特別良くはない。足つきもやや高め。実用面での割り切りは必要。
- SPモデルは、上質な足回りと追加装備で、乗り心地と性能をさらに高めた魅力的な選択肢。
- 豊富なカスタムパーツで、自分好みの一台に仕上げる楽しみも大きい。
- 刺激と興奮、操る楽しさを求めるライダーにとって、MT-09は最高の相棒となり得る。後悔しないためには、試乗と特性の理解が不可欠。
やあ、どうも!バイクの鼓動を感じるのが大好きな運営者です!MT-09の記事、熱い気持ちで最後まで読んでくれて、本当にありがとう!
MT-09、ヤバいバイクだよね!あのエンジン、あの軽さ、あのデザイン…どれをとっても「普通」じゃない。まさにヤマハが言うところの「ダークサイド・オブ・ジャパン」を体現してる感じ。乗ったら絶対、日常が色褪せて見えるような、そんな強烈な魅力があると思う。
でも、その一方で「疲れる」とか「速すぎる」とか「欠点」とか、ネガティブな声があるのも事実。この記事では、そういう声にもちゃんと耳を傾けて、良いも悪いも正直に書いたつもり。だって、買ってから「こんなはずじゃ…」って後悔するのが一番悲しいからね。
正直に言うと、MT-09は誰にでもおすすめできるバイクじゃない。優等生ではないし、気難しいところもある「じゃじゃ馬」なんだと思う。だからこそ、乗りこなせた時の喜びは格別だし、ハマる人はとことんハマる。まるで、ちょっと危険な香りのする魅力的な異性みたいな感じかな?(笑)
もし君が、ただ快適に移動したいだけじゃなく、バイクに乗ることで「興奮」や「刺激」、「操る楽しさ」を全身で感じたいと思っているなら、MT-09は最高の選択肢になるかもしれない。でも、その前に、必ず試乗してみてほしい。そして、自分がこの「じゃじゃ馬」と上手くやっていけそうか、冷静に判断してみて。
電子制御がたくさん付いてるからって油断は禁物だよ。あくまで主役は君自身。君のスキルとハートで、MT-09を乗りこなして、最高のバイクライフを手に入れてくれ!応援してるぜ!